海外アーティストの招聘(しょうへい)公演などを手がける「ウドー音楽事務所」を創業した有働誠次郎(うどう・せいじろう)さんが15日に死去したことを23日、同社が発表しました。92歳。80年代洋楽ブームのド真ん中世代としては、「ウドー」と洋楽はセットみたいなもの。音楽界の訃報が相次ぐ中、また1人レジェンドを失い、とても残念です。

67年(昭42)に「ウドー音楽事務所」を設立し、エリック・クラプトン、ボブ・ディラン、KISS、エアロスミス、ボン・ジョヴィら多くの著名アーティストを日本に招聘(しょうへい)。のべ1万回以上の公演を開催しました。特に70~80年代にウドーが呼んだ海外アーティストの顔ぶれはそうそうたるもので、日本の洋楽シーンをリードしてきた大物でした。

高校生のころ、チケットを買って行った「ワム!」の武道館公演(85年)はいい思い出です。「Freedom」「Careless Whisper」「Wake Me Up Befor You GoGo」などヒット曲満載のアルバムが世界的に大ヒットした後のツアーで、素晴らしいライブパフォーマンスに圧倒されたのを覚えています。今思えば、結果的にこれがワム唯一の来日公演。貴重な時間を過ごすことができたのも、有働氏率いるウドー音楽事務所のプロモートのおかげでした。

ネットもスマホもない時代。コンサートや芝居などは新聞や「ぴあ」みたいなチケット情報誌でせっせと公演情報を探し、電話で予約してプレイガイドで引き取る、みたいな流れも懐かしいですね。日本もお金があった時代というか、世界のスーパースターがじゃんじゃん来日公演を行っていて、イケイケな世相にウドーのブランドはいかにもかっこよかったです。

青春時代にいい音楽にたくさん出会わせていただき、ありがとうございました。当時編集した洋楽カセットを引っ張り出して、懐かしく聴き直してみたいと思います。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)