内野聖陽(46)主演の日本・トルコ合作映画「海難1890」(田中光敏監督、12月5公開)クランクアップ報告会見が9日、東京・芝公園のザ・プリンンス・パークタワー東京で行われた。会見で、「『海難1890』を成功させる会」の最高顧問に就任した安倍晋三首相と、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がビデオメッセージを寄せた。

 安倍首相は、1890年(明23)に和歌山県串本沖で発生したトルコ軍艦エルトゥールル号遭難事件の際、地元の漁民が救出に当たった恩を忘れなかったトルコ航空が、1985年(昭60)にイラン・イラク戦争でテヘランに取り残された日本人の救出に尽力した友好の物語を描いた映画だと強調。

 「両国の信頼関係の礎です。映画で後世に残るでしょう。現在、日本とトルコの関係は緊密で強固なものです。トルコに進出する日本企業も増加しています。両国が力を合わせての映画で、さらに友好が深まることを期待しています」などと語った。

 一方、エルドアン大統領は、トルコで日本より先の11月に映画が公開されることについて触れ「全世界の人々に届けられることを期待します」と日本、トルコ両国にとどまらない映画の拡大公開を希望していた。

 劇中で、エルトゥールル号遭難事件で傷ついたトルコ人を救った医師を演じた内野は「東の日本、西のトルコの間に友情があるのは奇跡。他者、家族を思う気持ちがシンプルに突き動かしたと思う。日本とトルコだけでなく世界の人に広がれば」と思いを語った。

 エルトゥールル号遭難事件については、オファーを受ける前にNHKの番組を見て知っていたという。「(オファーを受け)『あの和歌山の事件ね?』と思った。トルコでは小学校5年生の教科書にも載っていて、歴史的事件ととらえられていると聞いている。逆に日本では知られていない。(映画化は)良い機会。映像資料として残る。次の世代に残すものに参加させていただきたいと、2つ返事でお受けしました」と明かした。