「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」誕生の裏に、大物落語家の粋な励ましがあった。

 ピコ太郎が3日、TBS系「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(午後9時)に出演し、プロデューサーの古坂大魔王(43)が、故立川談志さん(享年75)の言葉に背中を押され、「PPAP」が生まれたことを初めて明かした。

 古坂は20年前から、音楽と笑いを融合させたネタを構想していた。3人組「底ぬけAIR-LINE」のメンバーとして、人気番組「ボキャブラ天国」に出演していたが、固執していたリズムネタで人気を得ることはできなかった。「中途半端」「格好つけている」などと非難されたという。

 さらに「ボキャブラ天国」が終了すると、仕事は激減した。お笑いの登竜門でもあったNHK「爆笑オンエアバトル」で起死回生を狙ったリズムネタを披露したが、出場10組中9位と惨敗した。

 NHK局内で落ち込んでいると、収録を見ていた談志さんに声を掛けられた。「パーッとやって、パーッと終わる感じがいい。イリュージョンだった。訳が分からないけど、見たことがない」と褒められた。さらに「自由にやりゃいい。誰もやってないということは、それがお前の才能なんだ。誰に何を言われても、やり続けろ」と激励された。古坂は「ありがたいな」と思ったという。

 しかしその後も古坂のリズムネタは、なかなか理解されず、生活苦に陥った。それでも「ボキャブラ天国」時代のタレント仲間に励まされたこともあり、再起をかけて単独ライブを開くことを決意。どんなネタで勝負したらいいのか悩んでいった時に、沖縄の消印で談志さんから手紙が自宅に届いた。便箋にはたった一言、「遊んでいるか」と記されていたという。

 自分を気に掛けていてくれたうれしさと、こんな言葉を贈ってくれる談志さんに感謝しつつ、かつて自分に言ってくれた言葉を思い出したという。その後、一念発起して、かつて披露していたリズムネタをアレンジして制作した曲が「PPAP」だったという。