4月2日放送回からテレビ朝日系「題名のない音楽界」(日曜午前9時)の6代目司会者を務める俳優石丸幹二(51)が、このほど初収録を行った。

 石丸はドラマ、映画、CMに引っ張りだこの知名度。クラシックを土台にピアノ、弦楽器、管楽器、声楽をそれぞれ高いレベルで学んできた充実の音楽的素養を持つ。

 石丸が司会者として担うのは、単なる進行役ではなく、音楽をこよなく愛する“劇場支配人”。コンサートホールを遊び場のように楽しむ石丸支配人が、自身の一押しのアーティストを観客に熱を込めて紹介。音楽好きの代表として、ゲストと聴衆をつないでいく。

 石丸支配人の初収録の題名は「劇場支配人の音楽会」。音楽史上語り継がれる伝説の劇場支配人、ロシアのセルゲイ・ディアギレフ(1872~1929)、ヨーロッパとアメリカで活躍したマックス・ラインハルト(1873~1943)の功績を、三ツ橋敬子の指揮と東京フィルハーモニー交響楽団の演奏で届ける。

 収録の冒頭で石丸は「わたくしが生まれる1年前に始まった歴史ある番組の司会に就任できましたことを、大変光栄に思っております。どうぞ一緒に楽しんでいってください。皆様の音楽心をくすぐるようなラインアップにご期待ください」と呼び掛けた。

 演奏はモーツァルト作曲の「音楽つき喜劇“劇場支配人”序曲」でスタート。石丸は演奏に聞き入りつつも、タブレットを片手に番組を進行するというスタイルで、新しい司会者の誕生を印象づけた。

 収録後、石丸は「ほっとしました(笑い)。『題名のない音楽会』という歴史ある番組の司会には、こんなにも重圧がかかるものかと、しゃべりながら感じました。でも、お客様がどんな表情でわたくしの話や演奏を聴いてくださっているのかがよく見えましたので、安心できました。皆様と一緒に番組を作ることができたかなと思っています」と振り返った。

 司会になることについては「この番組に歴史があることと、歴代の司会者がスーパープレーヤーであったり作曲や指揮のエキスパートでいらっしゃるという中で、わたくしはどのような立場になればいいかというのは正直、悩みました。ただ、自分がミュージカルや音楽に関わる業界で経験してきたことを、皆様と共有できればとの思いからお引き受けしました」と話した。

 “劇場支配人”としての理想像については「劇場支配人が持つプロデューサー的な側面から、自信を持って皆様にメッセージをお伝えすることをモットーにしたい。この番組が始まったときは黛敏郎さんが司会をされていましたが、記憶をたどってその司会ぶりを思うと、あの堂々としたスタイルこそが劇場支配人。今回の初収録では、黛さんのようにカメラから目線を外さずにしゃべる余裕はございませんでしたが、それ自体が目標ではなく、自信を持って情報をお伝えする姿を100点とすると、今回は50点くらい。それでも甘いでしょうか」と笑った 役者として活躍する舞台との違いについては「『劇場支配人』という肩書を一つの役と考えれば、たしかに演じている部分もあるかもしれません。だけど、この番組では役ではなく、私自身でいた方がいいと思う。舞台とはまったく違う心構えで臨みました。実際に終わってみて、演じている時とは違う私が存在していたと思います。この番組では、司会をしつつも演奏を間近で聴く聴衆にもなるわけです。聴衆である自分はお客様と感動を共有する存在。とっても“生”の感覚の自分がいました」。

 今後、挑戦したい企画については「歴代の司会者の方たちは、ご自分のフィールドの音楽を番組で取り上げていらっしゃるので、わたくしもミュージカルや過去に演奏していたサクソフォーンを通して吹奏楽、合唱、古楽器など興味のあるジャンルを紹介できたらと思っています。特にミュージカルは歴史こそ浅いですが音楽の幅は広いので、取り上げる機会があればと思います。また、観客の皆さんと一緒に演奏するようなケースがあってもいいかもしれません」と話した。【小谷野俊哉】