アニメ映画「メアリと魔女の花」(米林宏昌監督)初日舞台あいさつが8日、東京・TOHOシネマズスカラ座で行われた。

 米林宏昌監督(43)は、西村義明プロデューサー(39)と14年末にスタジオジブリを退社し、立ち上げたスタジオポノック第1作の舞台あいさつの最後に「スタジオジブリ、宮崎駿という2つの魔法の言葉が、いつも僕の隣、僕の中にずっとあった。乗り越えていかなきゃいけないと、常に考えて作っていきました」と赤裸々に語った。

 米林監督と西村プロデューサーは「思い出のマーニー」(14年)制作準備中の13年に、スタジオジブリが製作部門を解散すると聞かされたという。14年7月に「思い出の-」を公開すると、同年末にスタジオジブリを退社。何もないところから喫茶店をめぐり、脚本を練るところから始めて、15年4月にスタジオポノックを立ち上げた。

 米林監督は舞台あいさつの序盤で、司会から「ジブリ超えは?」と聞かれると「そんなおこがましいこと、僕からは言えないですよ」と苦笑いした。一方、西村プロデューサーは「ジブリも製作部門を解散し、1年間に生まれる子どもも100万人も切って、子どもの映画を作るのが難しい。(子どもの映画を作るスタジオが)1つ、立ち上がったのはいいことだと思います。メアリを使ったのは8割、ジブリにいた方。自分たちの中にあるジブリは超えていきたい…前に進みたいと思います」と、言葉を選びつつもジブリで培ったものを超えると宣言した。

 それを受けて、米林監督は最後に本音を吐露した。

 米林監督 スタジオジブリ、宮崎駿という2つの魔法の言葉が、いつも僕の隣…というか、僕の中にずっとあって、そういう状況の中で今まで、いろいろなものを作ってきたんですけど、宮崎監督から学んだことを愛していて、好きだった。同時に、これを乗り越えていかなきゃいけないと常に考えて作っていきました。メアリは物語の中でエイッと花を放り投げる。僕も映画を作りながら、スタジオジブリというものを乗り越えていくような気持ちで描きました。

 米林監督は笑顔の中にも時折、覚悟を決めたように鋭い視線で客席を見詰めた。【村上幸将】