人気アニメ「それいけ!アンパンマン」(日本テレビ系)のドキンちゃん役などで知られる声優の鶴ひろみさんが16日夜、東京都中央区の首都高速上に止まった車内で意識不明の状態で発見され、その後死亡したことが17日、分かった。57歳だった。所属事務所によると、死因は車を運転中の大動脈剥離という。
関係者によると鶴さんは最近も、好きなゴルフに知人を誘うなど元気そうだったという。所属事務所の青二プロダクションによると通夜・告別式は親族のみの家族葬とするが、今後、お別れの会などの開催を検討している。
警視庁などによると16日午後7時半ごろ、中央区日本橋1丁目の首都高速都心環状線内回りで、道路上にハザードをつけたまま止まっている赤色の外国製普通乗用車が見つかった。鶴さんはシートベルトを装着した状態で運転席におりすでに意識不明。病院に運ばれたが死亡が確認された。
現場は片側2車線。車は中央分離帯寄りの車線で止まっており、右前部に接触した跡があった。行政解剖の結果、病死と判明。所属事務所は死因を大動脈剥離と発表、運転中の「突然死」だったとみられる。関係者は「体調が悪いとは聞いていなかった。全くもって元気でした」と話した。
1988年から30年近く務めているドキンちゃん役のほか、放送中のフジテレビ系「ドラゴンボール」シリーズのブルマ役などで知られる人気声優だった。「それいけ!アンパンマン」を放送する日本テレビによると、来年1月19日放送分までは収録済みだが、来月22日放送のクリスマス特番は未収録という。同局の桐本篤プロデューサーは「突然の訃報に驚いております。心より、ご冥福をお祈りいたします。ドキンちゃん役の後任については、決まり次第お知らせいたします」とコメントした。
「ドラゴンボール」シリーズを放送するフジテレビは「全て調整中です」と説明。突然の訃報に所属事務所社員は「楽しそうに仕事をしていて、周りの雰囲気を明るくする人だった」とショックを受けていた。「横浜アンパンマンこどもミュージアム&モール」の統括、清水博靖さんは「ドキンちゃんは男の子、女の子を問わず人気で、鶴さんのかわいらしい声で子どもたちになじみ深かった。非常に残念です」と話した。
◆鶴ひろみ(つる・ひろみ)1960年(昭35)3月29日、北海道生まれ。小学2年生時に劇団ひまわりへ入団。68年にTBS系「コメットさん」でドラマデビュー。高校3年生だった78年、世界名作劇場「ペリーヌ物語」の主人公ペリーヌ役で声優デビュー。その後、女優から声優に活躍の場を移しアニメ「みゆき」鹿島みゆき役、「きまぐれオレンジ☆ロード」鮎川まどか役などを、担当した。血液型O。
◆「アンパンマン」シリーズ ジャムおじさんが作ったパンに流れ星が落ちてきて生まれたアンパンマンが成長し、街の平和を守るため、仲間とともにばいきんまん、ドキンちゃんと戦う物語。1973年に絵本として発売。88年に「それいけ!アンパンマン」としてアニメ化され、日本テレビ系で放送が始まった。放送回数は1300回超。世界一登場キャラの多いアニメとしてギネスブックに登録され、映画化もされた。横浜などに「アンパンマンこどもミュージアム」のテーマパークがある。