女優森川葵(22)が先日、来年1月5日公開の映画「嘘八百」の舞台あいさつで、すてきな話をしていた。

 同作の撮影期間中(今年の初め頃)、森川は、本人の言葉を借りると「大勝負に出たオーディション」を受けたという。映画で父親役を演じる中井貴一(56)には、オーディションを受けると話していた。

 結果は残念ながら不合格だった。森川は「ダメでした」と中井に宛てた。

 励ましの言葉が返ってくるかと思いきや、中井からは意外な言葉が返ってきた。「良かったじゃないか」。

 「良かった?」。森川は困惑した。中井に真意を問うと、力強い言葉が返ってきた。

 「お前はそれに落ちたことで、他の良い作品に巡り会える。今、そのタイミングじゃなかっただけだ」

 この言葉に強く感銘を受けた森川は、「この先にある仕事を頑張ろう」と、自らを奮い立たせることができたという。そうして1年を終えた今、「今年1年、すごくいい作品にたくさん出会えました」と話しているのだ。

 舞台あいさつでは「貴一さんがおっしゃった『オーディションに落ちて良かったね』って言葉を信じて仕事を頑張って、よかったなと思っています。貴一さんのおかげで今年1年、すてきな年になりました」と、充実の笑顔を見せていた。

 今年春頃、森川を取材していた。前年に撮影した作品の話を聞くためだった。1対1で話を聞き、ふわっとした女性だな、という印象を抱いた。今回、短い期間でいろいろな経験をし、成長したことが見て取れた。この1年がいかに充実していたかを物語っているようだった。

 一方の中井はというと、森川の言葉を受け、「『負けて勝つ』って言葉がありますから。将来、まだ先があるから、必ずどこかで勝ちますから。今後も森川をよろしくお願いします」と頭を下げていた。22歳の女優を大きく変えたベテランは、やはりかっこよかった。