ピース又吉直樹(37)が芥川賞を受賞した小説「火花」が、女優観月ありさ(41)主演で舞台化され、「火花~Ghost of the Novelist~」(東京・新宿の紀伊国屋ホール)として、3月30日から上演される。観月は自身の「女優観月ありさ」役と合わせて3役、又吉も「小説家又吉直樹」役で出演。親交のある2人がこのほど日刊スポーツのインタビューに応じ、息の合った様子を見せた。

 物語は女優観月が、自分の愛と引き換えに「火花」をくれと、原作者又吉に申し出ることから始まる。原作の世界と、観月が描き出す世界が交錯しクライマックスを迎える。若い漫才師・徳永を、BSスカパー!のドラマ「弱虫ペダル」で注目された植田圭輔(28)が、売れない先輩漫才師・神谷をNON STYLE石田明(38)が演じる。

 観月と又吉は、フジテレビ系バラエティー「キャサリン三世」で12年10月から1年間共演、プライベートでも親交がある。観月は「一緒に仕事したいね、って言っていたら『火花』が出てきた。脚本を読んでみたら、観月ありさ用に書き換えられていて面白かった。念願がかないました」。又吉は「自分の作品に出るということで、なんの役やろと思っていたら、自分の役やった。コンセプトを聞いた時、すごくおもしろそうだと思いました」。

 一緒に酒を飲みに行って、観月は「私が言いたいことをしゃべって、そこに一言、二言返事をするの繰り返し」。又吉は「よく酒の席で、僕が(他人から)絡まれるのを助けてくれる(笑い)」。観月は「本人役だから、その関係性は、お芝居になっても変わらないと思う」と笑顔で話した。

 観月は本人役以外にも、2役を演じる。「観月ありさと、他の役を行ったり来たりする部分があるので、見てる人が迷わないように明確にやりたい」。かつて年下の芸人としてかわいがっていた又吉は、芥川賞作家として“大先生”になった。観月は「そこに驚きはない。前から本が好きっていうことを聞いていたので、夢を描いて言っていたことを実現したんだっていう、素晴らしさを感じる。人間性は変わらないので、会う度にホッとしますね」。

 又吉は「観月さんとご一緒できるので緊張しますね。これが終わったら、今年中に小説を1本、書き上げたいと思います」。観月は「40代になったので、何か新しく自分で起こしていかなくては。『座・ALISA』という自身のプロデュース公演をやっているので、この経験を生かせれば」と、ともに今後への意欲をみせた。【小谷野俊哉】