テレビ朝日系で放送中のオーディション番組「ラストアイドル」(土曜深夜0時5分)から生まれた、5つのアイドルユニットが、放送中の2ndシーズンで、2枚目シングル(4月18日発売)の表題曲をかけたバトルを展開してきました。31日深夜の放送回で優勝チームが決まるのを前に、ファミリー全ユニットのインタビューをお送りします。第2回は「サムサム」の愛称を持つ6人組、「Someday Somewhere」です。ジャッジの不運もあって4戦全敗に終わりましたが、視聴者投票では、汚名返上の1位。逆境にも負けない姿でファンの共感を得た6人に、戦いを振り返ってもらいました。【森本隆、瀬津真也】

 

 6人組のサムサムは、5つのユニットの中では唯一の偶数ユニットだ。静かでおとなしい間島和奏(17)木村美咲(18)山田まひろ(19)と、元気な清原梨央(17)猪子れいあ(14)籾山ひめり(14)とキャラ分けできるという。

 猪子 私たち3人は「動物園」で、お姉さん3人が「植物園」って分かれているんです。

 一同 うまい!

 清原 私はチワワで…。

 猪子 私はライオン。

 籾山 私はひよこです!

 清原 ひめりは赤ちゃんみたいな顔をしてるから、「ミス赤ちゃんベイビー」なんですよ(笑い)。

 籾山 自分の中ではそんなことないんだけどな。声はおばさんみたいなので(笑い)。

 猪子 ひめりは同い年なのに、最初は幼すぎて小5くらいかと思ったんです。

 籾山 私だって、れいあを初めて見たときは15歳くらいかと思ってたよ。そしたら、まさかの同い年(笑い)。

 清原 年下はとにかく、ワチャワチャしいよね。楽屋でもにぎやかで、中学生の2人と私がうるさくて、お姉さん組もノリは良いけど、落ち着いてる。バランスがいいグループですね。

 猪子 梨央が橋渡し役になってくれて、時間がたつにつれてさらに仲良くなっていきました。最初のころは楽屋が3人ずつで分かれていたのが、今では楽屋がちょっと狭くても6人でいるようになってきました。 清原 年下と年上という境目がほどけた感じだよね。

 HKT48指原莉乃(25)をプロデューサーに迎えた総当たりバトルでは、王道アイドル曲「この恋はトランジット」で臨んだ。どのバトルも互角か、それ以上の戦いだったが、結果は4戦全敗だった。

 間島 「パフォーマンスは良かった」と言っていただけることが多かったので、全敗という結果は正直、何が良くなかったのか分からないんです。2連敗の後、6人全員でサムサムについて思ってることを言い合ったことがあって、そこから絆がさらに深まったと思います。そこから一致団結できたなって。

 意識向上のきっかけは、木村の涙だった。

 間島 美咲ちゃんが1度、お手洗いで抜けて戻ってきた後、泣きながら戻ってきて、「このままじゃダメだ」って、本気で胸の内をぶつけてくれたんです。その後、話し合いはより深くなっていきました。美咲ちゃんのひと言が変えてくれたんです。方向性とか具体的に決めていけたのは、美咲ちゃんのおかげだったと思う。

 木村 実はあれ、本当におトイレに行っただけだったんだけど…。

 一同 (笑い)

 木村 でも、実は1人1人が意見を持っていたんだよね。私は年上組ですけど、中学生メンバーの子たちに悲しい思いをさせたくなくて…。だから「もっと深い話をしたい」って、泣きながら話してしまいました。

 籾山 それまでの会話は、「このままじゃダメだよねー」ぐらいだったのに、ひと言で「本当にそうだな。もっと真剣に考えなきゃ、後がない」って心に思いました。

 手にポンポンを持って踊ってみるなど、レッスンではメンバーなりにアイデアを出し合った。しかし、指原プロデューサーからのアドバイスは「変えなくていいよ。自信を持って」だった。

 山田 あの時は、指原さんに1人1人が質問を考えていて、それを聞くことができて、的確に答えてくれてすっきりしたんです。変えたやり方も1度、指原さんにやって見せて、その上で「貫いた方がいいよ」と背中を押していただけたんです。だから、「みんなで頑張ろう」ってなれました。そういえば指原さん、この間「やせた?」って言ってくれたんです。初対面の時、「大人組はやせた方がいい」って言われて、私には「やせたらポニーテールにしよう」ってアドバイスを下さったんです。指原さんのコンサートで会ったら、「やせた?」って言ってくれて、うれしかったです。実は6、7キロ減らしたんですよ。

 一同 すご~い!

 実は4敗のうち、ジャッジ4人の多数決はすべて2勝2敗か3勝1敗で、負け越したことは1度もなかった。4人のジャッジのうち無作為に選ばれた1人が独断で勝者を決める、番組独自のシステムの「犠牲者」でもあった。

 清原 結果としては負けているんですけど、票数は負けていなくて、同点と勝ちしかなかったんですよ。負けていなかったので、そんなに納得はいってなかったけど、この世界は運も大事だと思ってました。「持っている」ことも大事。だから悔しくて、努力を必死にしてきたけど、結果的に報われなかったんです。ちょっと「むごいな」って気持ちにもなりましたけど、指原さんには「サムサムにないのはスター性だけど、そこが良さ。泥くささがいい。報われても報われなくても、必死こいて努力するのがサムサムなんだ」って言っていただけて、救われました。

 清原とダブルセンターの間島は2連敗の後、心境を聞かれて「下克上のしがいがある結果だと思います」と前を向いた。第1回AKB48ドラフト会議(13年)など数々のオーディションを経験し、ラストアイドルも暫定メンバーから脱落。負けから多くを学んだ間島らしい、泥くささを象徴する言葉だった。

 間島 私は今までの経歴でドラフト候補生だったり、ずっと48さんと坂道さんのオーディションは受けてきたけど、ほとんど書類とか2次審査で落ちていたんです。ラストアイドルに受かったのは奇跡だったので、ここであきらめたらもう終わりだと思っています。逆に、あきらめなければ可能性があるって、人生をもって学んできました。このユニットには、勝利の喜びを知らない子もいるけれど、だからこそ私が前を向く言葉を発して、みんなと頑張りたいと思ったんです。

 そんな愚直な戦いぶりが、ファンの心を動かした。番組公式サイトで行われた視聴者投票では、2万882票を獲得して1位。しかも、人気No・1ユニットと呼び声の高かった2位シュークリームロケッツに、5000票以上の圧倒的な大差を付けた。

 木村 びっくりしました。私たちはツイッターとかで「投票お願いします」ってさほど言っていなかったので…。サムサムが良かったって気持ちを投票してくれてよかった。

 猪子 全敗しているから、1位ではないかなと思っていて、でも3位以内には絶対入りたいって思っていたんです。だから、まさか1位にいるなんて思わなかった。「2位、シュークリームロケッツ」って言われて、自分たちが1位だって分かった瞬間、涙が止まらなかったです。バトルでは1度も勝てなかったけど、他のグループが絶対に勝てない勝ち方ができてうれしかったです。

 間島 私たちは、ユニットの中で唯一、全敗なんです。「ラストファミリーにいてもいいのかな」って不安と恐怖があったんですけど、ファンという1番信じてもらいたい存在に支持されて、初めて認めてもらえた感じがしました。これからもアイドルを頑張っていいんだなって。うれしさと充実感がいっぱいでした。

 清原にとっても、格別の「勝利」だった。シーズン1では、最初に個人戦に敗れ、辞退者が出たことによる敗者復活戦にも負けた。そして、シーズン2のユニット戦でも4連敗。番組史上、最も負けを経験したメンバーだからだ。

 清原 あの番組の中で、私は1番負けているんですよ。負けしか知らない私だったので、画面にランキングが出たときに、1番上にいるってのが信じられない光景でした。いろんなところで、スタッフさんやファンの方に励まされ続けたけど、結果になっていなかったので、不安で…。視聴者投票の1位は、本当の1位と言えるんじゃないかと思っています。「自分たちは落ちこぼれ」という気分だったので、ファミリーの中でもやっと輝けたんだなって、自信が持てるようになりました。

 山田 負け続けて、「私たちはどこで自信をつければいいんだろう」って思っていたんです。私たちは「どういうグループにしていきたいか」を考えたとき、見ている人を笑顔にしたり、楽しんでもらうことだなって思いました。だからテレビで見てくれている人の意見は大事ですよね。1番評価していただきたい人たちに1位をいただけて、うれしかったし、やっと自信につながりました。これからは、曲もユニットも、もっと愛されていくようになりたいです。

 籾山 今までの対決で隣のグループが喜んでいるのを見て、「私たちも喜びたい。ファンの方に恩返しをしたい」って思っていました。だから1位になった時に、すごくうれしかったし、こんなにも応援してくれている人がいるんだって実感しました。

 負けから始まるドラマがある。サムサムは、それを最も体現できるユニットでもある。

 清原 アイドルとして本気でトップへ行きたいし、ラストアイドルファミリーの中で埋もれていては、とうていトップにはなれない。投票1位をステップにして、自分たちの色を出し切って、はい上がって、サムサムで単独でライブをしたり、バラエティー番組で活躍したいです。キャラが全員えげつないので、閉じ込めておくともったいないんですよ! いつかは指原さんとも、バラエティーで共演したいです。あきらめずに、常にはい上がる姿勢で、向上して追い上げていきたいと思います。

 

 ◆Someday Somewhere 間島和奏(17)猪子れいあ(14)籾山ひめり(14)木村美咲(18)清原梨央(17)山田まひろ(19)の6人組。愛称「サムサム」。ラストアイドルの2ndユニットとして結成され、デビューシングルではカップリング曲「Again & Again」を間島センターで歌唱。番組シーズン2では、指原莉乃プロデューサーの意向で間島、清原のダブルセンターになった。間島、山田はラストアイドルの初期暫定メンバー。籾山はアイドルユニットSpindleと兼任。