中谷美紀(42)主演のTBS系ドラマ「あなたには帰る家がある」(毎週金曜午後10時。初回15分拡大)が13日、スタートする。幸せと思われた家庭の裏で長年、夫婦を営んだ男女の間に生じた心のすれ違い、そこから発展する不倫などを、2組の夫婦を軸に描いたドラマで、TBSは83年にヒットしたドラマ「金曜日の妻たちへ」を引き合いに“2018年版金妻”と打ち出している。5日に都内で行われた試写会で第1話を一足先に見た記者が、見どころを紹介する。【村上幸将】

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 中谷演じる佐藤真弓と、玉木宏(38)演じる13年連れ添った夫秀明が、共通の友人・三浦圭介(駿河太郎)が経営するカレーカフェで互いを愚痴るシーンで、女性が大半を占めた客席の各所から大きな笑いが漏れた。直木賞作家・山本文緒氏が94年に発表した同名小説をドラマ化した今作品は、スタッフが制作にあたり100人以上の女性にリサーチし、夫や子育て、仕事と家庭の両立など、女性の本音を徹底調査しただけに、ありそうな夫婦の風景にうなずく女性が多かった。1話の冒頭で描かれる夫婦げんかは、真弓が賞味期限切れのハムを使ってサラダを作ったのを、秀明が嫌みっぽく追及する、たわいもないものだ。ただ、そこでの気持ちのすれ違いが、真弓の職場復帰宣言で大きな溝になる。ここも、女性から反応があった。

 一方、男性目線から見ても、うなずける点があった。住宅販売会社で販売のノルマを達成できずに悩む秀明は、モデルハウスを見に来た茄子田太郎に度重なる嫌みを言われる中、優しく接してきた茄子田の妻綾子に、真弓にはない女性らしさ、癒やしを感じ心奪われてしまう。玉木は、秀明を演じるにあたり「ちょっと、どこか夫婦生活に疲れちゃって、たまたま落とし穴に落ちてしまったというさじ加減を気を付けて演じています」と語ったが、その“たまたま”“落とし穴”も日常的にありそうだ。

 中谷が「道ならぬ恋の行方を楽しみにしていただくと同時に、夫婦関係がひび割れていくか…切ないですがブラックコメディーです」と語ったように、中谷と玉木演じる佐藤夫妻と、ユースケ・サンタマリア(47)と木村多江(47)演じる茄子田夫妻が交錯していく1話の中盤まで見ると、気になって、その先もつい見てしまうのではないか。秀明と綾子がひかれ合っていくシーンで、玉木が画面にさらす“あらぬ姿”は女性視聴者は必見だろう。

 リアリティーを感じるのは、夫婦げんかや不倫のシーンだけではない。夫婦げんかをした真弓と秀明が、互いに言いすぎたと反省し、互いが恋愛感情を抱いた当時を振り返るシーンも、胸に手を当てればわが身にも同じようなことがあったと思えるのではないか。長年、連れ添った夫婦に限らず、恋愛を経験した男女ならツボにはまるポイントは幾つか、あるだろう。

 果たして、「あなたには帰る家がある」は“2018年版金妻”になれるか? 試写会での客席の反応を見る限り、その可能性はあると見る。