宝塚歌劇異色の“落語ミュージカル”と評判を呼んでいる星組「ANOTHER WORLD」新人公演が15日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、OG天海祐希にあこがれる最上級生7年目の天華(あまはな)えまが、3度目のセンターに立った。

 早口で船場ことばをまくし立て、「なんまいだ」と歌い踊る。桂米朝一門お家芸の大ネタ「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」などの落語をもとに、死後の世界を描いた異色作だ。本公演では、大阪出身の芸達者トップ紅(くれない)ゆずるが、恋わずらいで亡くなった「船場のぼんぼん」を名調子で演じている。

 難役とあって、今作主演には、関西の滋賀出身で、主演経験もある天華が選ばれた。

 「さゆみさん(紅)には、本当に毎日、(本公演の)終演後に何時間も付き合っていただき、1から100まで教えていただいた。でも今日は、ほとんど(成果を)出せなかった」

 天華本人は、反省しきりだったが、吉本新喜劇・辻本茂雄ファンの天華は、大好きな「お笑い」のテンポを生かして、膨大なセリフ量をこなし、客席からも拍手。それでも本人は「1人での(セリフの)間合い、仲間が加わっての大勢の間合いは変えなきゃいけない」と言い、新人にしては高レベルの反省の弁を繰り返した。

 指導してくれた紅、支えてくれた仲間、拍手で迎えてくれた客席には感謝。「(主人公の)セリフにある『御霊(みたま)のふれあい』。まさに御霊がふれあいました」と頭を下げた。

 相手役ヒロインは星蘭(せいら)ひとみが務め、本役トップ娘役の綺咲愛里(きさき・あいり)から、日本物の所作などを学んだ。

 東京出身で、関西弁に苦労したといい、星蘭も「日本物の所作も、関西弁も本当に難しく、今日、よかった点はひとつもなかった」と厳しい自己評価。「次回の東京公演では、ひとつでもよかった点が見つかるよう、がんばりたい」と話していた。

 東京宝塚劇場での新人公演は7月5日。