公開中の映画「未来のミライ」(細田守監督)を手掛けるスタジオ地図のプロデューサー斉藤優一郎氏(41)が4日、都内で行われたイベント「映画『未来のミライ』プロデューサーに聞く!デジタルがひらくこどもアートの世界」のパネルディスカッションに登壇した。

 映画の製作秘話や、作品で使われたCG技術を子ども向けに解説するイベントで、斉藤氏のほか、同作品でCGディレクターを務めた堀部亮氏らが登壇した。この日出席予定だった細田監督は、高熱のため欠席した。

 斉藤氏は細田監督とアニメ制作会社「スタジオ地図」を設立し、これまで「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」などヒット作を送り出してきた。細田監督の作品のテーマ選びについて「身近なモチーフを切り出す人」といい「今回の作品も、監督のご家庭にお子さんが生まれたという身近な体験から生まれている話です」と話した。

 細田監督からは難題を与えられることもあるという。通常、背景は1枚の絵だが、その中で風を表現したいと伝えられたという。「『1枚の絵を渡すから、あなたの技術で動かして』って」と苦笑した。揺れる草木をCGで重ねることで風を表現したといい、「一休さんみたいなとんちですよね」と笑った。

 「サマーウォーズ」以降、CGを積極的に取り入れている。今作に登場する“未来の東京駅”を歩く群集は、人にぶつからずに歩くようプログラミングされている。また、前作「バケモノの子」では、渋谷のスクランブル交差点を行き交う4000人をCGで再現した。「その時の流行、当時ケータイはあったのか、どんな企業看板があったのか、どういう人たちが4000人の中にいるのか調べました」と苦労を明かした。

 細田監督は少年時代から絵を描くことが大好きで、特に雲をモチーフに選んでいたという。これまでの作品にも入道雲と青空が多く描かれており「『常に変化する雲を描くことで、子どもの成長を表現している』と監督は言います。アニメーションという、子どもの成長を励ます表現で映画を作りたいと思っています」。続けて「夏は主体的に絵を描くのにぴったり。成長を促す夏に絵を描いてください」と夏休みの子どもたちに呼び掛けていた。