歌手沢田研二(70)の公演ドタキャン騒動。「9000人の客が入ると聞いていたのに7000人だったから中止にした」と、本人が説明しました。

中止を決めた判断については賛否の声が上がっています。

タレント仲間からは、「ジュリーらしい」と一定の理解・擁護をする声が上がる一方で、元事務所の先輩・中尾ミエ(72)は「ぜいたく言っているんじゃないわよ」と一喝しました。会場に駆けつけながら、開演直前に中止を知らされた多くのファンの心情をおもんぱかっての発言とも受け取れます。

興行関係者からは批判の声しか聞こえてきません。「自身が同じ立場に立ったら…」。そう考えるからでしょうか。公演を中止したことに伴う、約4000万円と推定される会場・警備費などの損害を今後、だれがどれだけ負担するのか気になります。

取材を進めると、ライブの選曲についての意見も聞かれました。「沢田のライブはヒット曲の歌唱が極端に少ない」という指摘です。あるイベンターは「コアなファンはそれでもいい。でも、ヒット曲は聴きたいけど、知らない歌ばかりでは行きたくないと思っている『グレーゾーン』の人がライブに足を運ばなくなってしまう。そうなると興行的に厳しい」と指摘します。

ロックやポップス系の歌手だと、往年のヒット曲を歌唱しない歌い手は沢田の他にも結構います。ですが、多くの演歌歌手は違います。例えば舟木一夫(73)。ライブになるとファンの求める“鉄板”ヒット曲を必ず歌唱することで知られます。所属レコード会社では「ステージ上で『この曲は歌わないといけないでしょうね』と言いながら、『高校三年生』などを楽しそうに歌っています」。舟木の“ファンファースト”の姿勢を感じます。

15年に亡くなったザ・ワイルドワンズの加瀬邦彦さん(享年74)が健在ならば、今回の騒動は起こらなかったのではないかと指摘する音楽関係者もいます。加瀬さんは沢田のヒット曲「危険なふたり」「TOKIO」を作曲するなど親しい間柄で、深い信頼関係で結ばれていたといいます。「沢田は加瀬さんの言葉には耳を傾けていました。ドタキャンもなかっただろうし、そもそも、さいたまスーパーアリーナのようなキャパの大きい会場での公演を行ったかどうか。ツアーの公演数も多すぎではないのか」。

来年の振り替え公演が発表されて、表面的には沈静化している今回の騒動ですが、水面下では、まだくすぶっていることがあるような気がします。要注目です。