第31回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)の授賞式が28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われ、約650人が出席した。新人賞を受賞したのは「響 -HIBIKI-」で映画初出演初主演を果たした欅坂46平手友梨奈(17)。腰部打撲などによる活動一部休止を発表して以来初の公の場となったが、笑顔で登壇し受賞を喜んだ。
前年度受賞者の女優浜辺美波(18)から盾を大事そうに受け取ると、平手は笑顔を見せた。物珍しそうに、盾に刻まれた文字をのぞき込む。続いて「響」の月川翔監督から花束を渡されると、表情をほころばせた。マイクの前に立ち、「はじめまして、平手友梨奈です」とあいさつ。「ええと…まだ実感が全然ないんですけど、すごくありがたいことだと思っています。ありがとうございます」。頭を下げて感謝し、ほほえんだ。
劇中では、天才女子高生小説家、鮎喰響(あくい・ひびき)を演じた。建前やごまかしを許さない役どころで、強いこだわりを持つ平手と重なる部分もある。月川監督から「平手友梨奈じゃなければ、作れなかった」と絶賛されると、「どうなんだろう? 私は、そうは思わないです」と照れ笑いし、会場を沸かせた。
注目の登壇だった。今月21日、ダンスパフォーマンスを伴うステージなど、一部活動の休止を発表。「NHK紅白歌合戦」などの年末の歌番組出演については、所属レコード会社が「本人の回復を最優先させます」としている状態だ。この日はしっかりした足取りだった。司会の露木茂アナウンサーから「体に気をつけて頑張ってください」と言われ、「はい」とうなずく一幕もあった。
式中には、同席した白石和弥監督ら関係者から「ぜひまた映画に出てほしい」「次回作も楽しみです」と声を掛けられた。月川監督からは「既存の枠に収まらない人。『この子はこの後どうするんだろう?』というワクワク感が新鮮で、皆さん期待しているんだと思う」と推測された。平手は「それで迷惑をかけることもあると思いますけど、自分が譲れないものに共感してくださる方がいらっしゃれば…」とほほえんだ。
「響」で共演した女優北川景子(32)からは「息抜き程度でもいいから、(映画の現場に)来なよ」と声をかけられたという。今でも毎日連絡を取り合うという北川をはじめ、共演者やスタッフと貴重な出会いがあった。「またそういう機会があるかは分からないですけど、初めての映画が『響』でよかった。自分の賞じゃなくて、『響』のチームの賞だと思います」。17歳の初主演作は、映画史に確かに刻まれた。【横山慧】