元テニスプレーヤーの松岡修造が東京・河合塾新宿校で行った「C.C.レモン受験生応援イベント」を取材した。

夏、冬の五輪をはじめ、世界水泳、世界体操など、すっかり”日本の応援団長“という呼び名がぴったりの松岡だが、この日はセンター試験直前の受験生約50人を前に、めちゃくちゃ熱い激励を行った。

中でも黒板を使って行った特別講義が印象的だった。

「ぼくはみなさんの心の中にこの言葉を入れてほしい」と、「体」「技」という文字の下に「心」を加えた”修造語“を「タフ」と名づけ、テニス全豪オープン出場中の錦織圭を引き合いに「彼は今年のテーマを『タフになる』と表現していました。なぜなら、彼は半年間ケガで1試合も出場できなかった。体はボロボロだった。でも、自分にできることをやろうと、心で体を支えてきた。そして、今年最初のブリスベン国際で優勝した。それまで決勝9連敗という状況の中、『今回は勇気を持とう。タフになろう』と自分から攻めていった。それが勇気=タフということ。君たちは一人じゃない。周囲の言葉や力を自分の力に変えて心を1つにすれば『タフ』に戦える!」と鼓舞したが、その言葉は受験生だけでなく、私の心にもじんわり響いた。

”日本の応援団長“の力は偉大だった。松岡が繰り出す「頑張りは増える」「限界は増える」「緊張と友達になれ」「笑顔は最強」「プレッシャーを感じられる人は幸せ」「1番悪いのはチャレンジしないこと」「最高のパフォーマンスを発揮できるのは、冷静と情熱の間にいるとき」といったポジティブな”松岡節“が、本番目前で不安いっぱいの受験生たちの顔を紅潮させ、やがて自信あふれる笑顔に変えていく。中には、感激で涙ぐむ受験生もいた。

そして、うまかったのは受験生の悩み相談に乗るコーナーで、「みんな、僕をポジティブ野郎って思っているじゃない? 実はいつも勝てないんじゃないかと思っていたくらいネガティブだった」と告白したこと。こう告白することで自分も同じ不安を抱えていた人間だと、受験生の悩みに寄り添えることを示し、「だからこそメンタルトレーニングを重ねてきた」とその大切さを説くあたりはさすがだった。

イベントでは神主さんによる祈とうもあり、われわれ取材陣も神妙に受験生の合格を祈願した。

松岡の応援パワーはきっと届いたはず。そして、「周囲の言葉や力を自分の力に変えて、心を1つにすれば『タフ』に戦える!」というメッセージを胸に、念願の第1志望合格を勝ち取ってほしい。