宝塚音楽学校105期生の卒業式が1日午前、兵庫県内の同校で行われ、スポーツキャスター松岡修造(51)の長女、稀惺(きしょう)かずとを始め40人が同日午後の宝塚歌劇団の入団式をへて、タカラジェンヌへの第1歩を踏み出した。

阪急東宝グループ創業者小林一三氏の玄孫(やしゃご)にあたる稀惺は男役。米国人を父に持つ首席、娘役の音彩唯(ねいろ・ゆい)らに続き、11番目に名前を呼ばれた。卒業公演にあたる文化祭では演劇で主演も務め、上品で化粧映えする顔立ちが印象的で、「御曹司スター」としても期待が高い。

修造はこの日、仕事と重なり姿は見せなかったが、公式ブログに思いをつづった。「その道は決して楽なものではないと思いますが、小林一三さんのお言葉『朗らかに、清く、正しく、美しく』をモットーに、娘自身の好きな言葉『心に炎』を保ちながら、日々精進していってくれることを願っています」。最後は「熱さでは娘に負けたくない」となぜか対抗心も示した。

親子とも負けず劣らずの熱さ。娘も2年間、無遅刻で全てに出席した「特別皆勤賞」。多くても例年受賞者は10人ほどだが、今年は24人。角和夫理事長も「今年は奇跡が起こった」と105期生の絆の固さに驚いた。

稀惺は修造の娘らしく快活で、この日もほぼ涙はなく、後輩からブーケを贈られると満面の笑みを見せた。ハートの強さ、熱さが同期にも伝わり、式典後の写真撮影では40人が「やる気、元気、105期!」と掛け声で気勢を上げた。例年、粛々と進むことが多い行事も笑い声があふれ、取材に応じた音彩ら成績上位4人は「先生から『やる気、元気がある期』と言っていただき、キャッチフレーズに」とけれん味のない笑顔で声をそろえた。

40人は宝塚大劇場で4月19日に開幕する宙組公演「オーシャンズ11」で初舞台を踏む。【村上久美子】