スティーブン・スピルバーグ監督(72)が、先月24日に発表された第91回アカデミー賞でネットフリックスの映画「ROMA/ローマ」が外国語作品賞や監督賞など3冠に輝いたことを受け、アカデミー賞からネット配信作品を締め出そうと動きだしたと報じられた。

かねて「(テレビ映画として)エミー賞には値するが、オスカーにはふさわしくない」と劇場公開映画との違いを強調してきたスピルバーグ監督は、理事を務める映画芸術科学アカデミーの理事会でネット配信作品に対するルールの変更を求めると広報担当者が明かした。

ネットフリックスは潤沢な資金を使い、「ROMA/ローマ」のオスカーキャンペーンに破格の2500万ドルの宣伝費を投じたとして非難されていた。一方の名指しこそされていないもののターゲットとされたネットフリックスは、「私たちは映画を愛しています」と声明を発表し、(ネット配信によって)映画館のない町に暮らす人にも映画を届けることができるとコメントし、応戦の構えを見せている。

ストリーミング作品と劇場映画の違いに強いこだわりを持つスピルバーグ監督に対し、業界内からも賛否両論の意見が出ており、資金調達や配給元探しに苦労してきた若手監督からは「時代遅れ」との声も上がっている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)