顕著な活躍をした映画製作者を表彰する「第38回藤本賞」の授賞式が5月31日、都内で行われた。

藤本賞には「万引き家族」の是枝裕和監督(56)が選ばれた。同作は昨年のカンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを受賞、日本国内では興行収入46・7億円を記録した。

是枝監督は「デビューして25年、デビュー当時は当たらないと次が撮れないという不安がある中でしたが、この5年、ようやくプロデュースチームが安定してきたというか、互いに気心が知れて分かり合える形で映画を作る状況ができています。映画は監督だけではできないと感じています」と感謝した。

「万引き-」について、当初はプロデュースチームの中には、ヒットを期待する雰囲気はそれほどなかったという。是枝監督は「スタートとゴールがこんなに違ってしまって、良かったんだろうか。良い方に転がったから良かった。映画って、不思議な生まれ方と育ち方をすると思いました」。

また、是枝監督は、メガホンを取った「歩いても歩いても」(08年)を製作した故安田匡裕さんに触れた。「安田さんはオリジナルにこだわる僕を励ましてくださった。このようにヒット作を撮る姿を見せられなかったのは残念ですけど、墓前に報告に行ければと思います」と話した。

ほかに特別賞は「翔んで埼玉」をプロデュースした若松央樹氏(50)、奨励賞には「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」をプロデュースした増本淳氏(43)が選ばれた。

新人賞に選ばれた「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督(35)は、この日が新作撮了のため欠席した。