NHKは3日、都内で、20年度前期の連続テレビ小説「エール」のヒロイン発表会見を行い、女優二階堂ふみ(24)に決まったと発表した。オーディションの応募者2802人から選ばれた。

作品は、俳優窪田正孝(30)が主演し、「栄冠は君に輝く」「六甲おろし」などで知られる昭和の音楽史を代表する福島出身の作曲家古関裕而氏と、妻で歌手としても活躍した金子(きんこ)さんをモデルに描く夫婦の物語。

二階堂は、窪田が演じる主人公の古山裕一の妻になる関内音を演じる。2月には窪田が古関氏をモデルにした古山を演じることが発表されており、妻を誰が演じるか注目されていた。

二階堂は、窪田の「妻となる方を紹介させていただきます」との声でステージに登場した。「この作品を知った時からたずさわれたらいいと思っていました。昨日結果を聞いたばかり。本当かな、ウソじゃないかなと思って、歩いてきて、落とし穴とかあったらどうしようとか思っていました。ここに立って、ごあいさつをして、ああ、本当にこの作品にたずさわることができるんだと、うれしい気持ちでいっぱいです。窪田さんが演じる古山さんを1年間、明るく、元気に支えていけたらと思います」と語った。

窪田は二階堂について「実は3日前に聞いた。誰にも言わずにずっと我慢していた。一緒に仕事をしたことがあり、彼女の描く芝居の繊細さとか、キャラクターの入り方が魅力的と感じた。彼女と1年間できることが幸せ。安心感を与えてくれる。2人にしかできない化学反応のようなもので作品が盛り上がればいい」と語った。

演じる妻のキャラクターをNHKは積極的な女性とし、新聞で見かけた古関氏の記事をもとにファンレターを書き、3カ月の文通をへて、出会って3日で結婚した女性。力強さ、情熱があふれ、恋多き女性を演じるのは二階堂がふさわしいと説明した。

作品は福島へ応援歌とも言える。窪田は「作品を通して応援歌を、古関さんの人生をたどりながら音さんと一緒に、音楽や人の愛情などいろんな面を伝えたい」と語った。二階堂は「祖母が沖縄戦を体験してまして、その祖母が傷や歴史的なものを抱えて懸命に生きてきた人。そんな祖母が楽しそうなうれしそうな顔をするのは音楽を聴いている時や何か面白い物や素晴らしい物に触れている瞬間。きっとこの作品もそういう作品になると思う。そういう作品が福島をスタートにできるのは素晴らしいこと。光栄に思います」と語った。

また、二階堂は窪田の印象を「すごく誠実で真っすぐな方。それでいて繊細さもあり、大胆なところもきっとある方と思います。今回の裕一さんはぴったり」と語った。また、演じる妻は歌手を夢みる役。「音楽についてはオーディションで歌うことが結構あり、たくさん練習しました。音楽に関する思い出が増えました。また思い出を1つ1つ増やしていけたらと思います」と語った。

最後に、オーディションを受けた理由を「1人のいろんな苦悩もありながらもいろんな方々に勇気や元気を与えてきた古関さんをモデルにした人の奥さん役だったので、ぜひやりたいと思った。隣で一緒の支え合って生きる女性を演じたいと思った」と説明した。オーディションでは「長崎の鐘」を歌ったと紹介。「緊張しましたが、大丈夫だったかなとか、できていたのかなとずっと思いながら受けていました。貴重な経験をさせてもらいました。だからこそ、絶対にこの役をやりたいと思った。いい時間でした」と語った。

◆二階堂(にかいどう)ふみ 1994年(平6)9月21日、沖縄県生まれ。モデルから07年、日本テレビ系ドラマ「受験の神様」で女優デビュー。12年の主演映画「ヒミズ」でベネチア映画祭最優秀新人賞、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。13年映画「地獄でなぜ悪い」などでブルーリボン賞助演女優賞。14年にニューヨーク・アジア映画祭でライジング・スター・アワード受賞。現在は、フジテレビ系ドラマ「ストロベリーナイト・サーガ」で主演。157センチ、血液型O。