俳優仲代達矢(86)が4日、東京国際映画祭で特別功労賞を授与された。85年の第1回同映画祭のオープニング作品は、黒沢明監督、仲代主演の「乱」で、以後も同映画祭で仲代の出演映画が上映された。

この日、主演の時代劇作品「帰郷」(杉田成道監督、来年1月公開)の舞台あいさつの前にトロフィーを授与され、仲代は「こんなにすてきな、立派な賞をいただきました。長い間、70年近く役者をやっていて良かったと思います」と笑みを見せた。

「帰郷」は老渡世人が過去の罪を振り返りながらふるさとに帰る物語。仲代は観客と一緒に作品を鑑賞し「ちょっと涙がこぼれました」。

作品について、仲代は「老やくざの晩年を描いた作品です。私も役者の晩年を過ぎた者として共感を覚えました」と話した。

杉田監督の演出は粘るものだったようで、娘役の常盤貴子は「仲代さんはすごい数をやられてました。泥水にばしゃんとなる場面でも、もう1回、もう1回…って。この仲代さんが泥だらけになって、すごい数をやられる…。裏ではスタッフが『仲代さんがかわいそう』って言ってました」と振り返った。

仲代は「新人のような気持ちで演出を受けておりました。ありがとうございました」と、杉田監督に感謝した。

ほかに北村一輝、田中美里が出席。