ミュージシャンで作家の辻仁成(60)が、ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(53)から15年4月に性的暴行を受けたとして1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟について、自身が在住するフランスなどでも大きな話題となっている状況をつづった。

辻は21日、ブログを更新し、「もはや日本だけではなく、フランスでも伊藤詩織さんの勝訴ニュースがル・モンド紙など各紙で大きく扱われた。この問題は日本で考えられている以上に欧州では大きな話題になっていることは間違いない。とくにお隣のイギリスではBBCがトップニュースに近い扱いをした」と海外の反応を伝えた。

東京地裁が山口氏に330万円を支払うよう命じた判決について、「なぜ、330万円の賠償だけで済むのだろう、とか、権力側に近いジャーナリストだから逮捕されない、という論調まで、結構辛辣なものも含め、いろいろあって、昨日、カフェの日本贔屓のギャルソンからも、ちょっとあれだけは酷いね、と言われてしまった」という。「日本の男としては残念で仕方ない」との思いをつづり、「インドとかパキスタンからレイプのニュースが届くたびに、酷いなぁ、といつも思っていたけど、伊藤さんの場合は権力者と対峙する一人の若い女性の戦いとして、世界のメディアが日本のメディアが思っている以上にかなり注目していることは事実だ」とした。

伊藤さんが勝訴したことについて、「プライベートまで晒されたあの状況下で、伊藤さんは本当に頑張ったと思う。普通だったら、権力に屈し、挫折し、泣き寝入りしていたかもしれないのに、この人は負けなかった。それにしても、どうやって戦ってゆくのだろう、と心配していたが、最終的にBBCなど海外メディアからの逆輸入の告発が日本を動かすことに繋がった。英語力がなければできなかったこと、それよりも、芯が強くなければできないことだったと思う。その精神力の強さがあってこその勝利だった」と私見を述べ、「これからもまだ長い闘いがあるとは思うが、世界のメディアが伊藤詩織さんの味方に付いている限り、そして伊藤さん自身のジャーナリスト根性が折れない限り、どのような権力や圧力が働いても、この勝訴が覆ることはないような気がする。見守りたい」とした。