歌手槇原敬之(50)が13日、覚せい剤取締法違反(所持)と医薬品医療機器法(旧薬事法)違反の疑いで警視庁に逮捕されたことで、芸能界は大混乱に陥った。今年はデビュー30周年イヤーで、ベストアルバムの発売のほか秋からは全国ツアーが予定されていた。また歌手への楽曲提供や、番組テーマ曲の制作など数多く手掛けており、今後も対応に追われそうだ。

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警視庁組織犯罪対策部第5課によると、逮捕容疑は、18年4月11日、東京都港区海岸のマンションの1室で覚醒剤0・083グラムを所持した疑い。また、同年3月30日には、指定薬物の亜硝酸イソブチルを含む通称「ラッシュ」と呼ばれる液体64・2ミリリットルも所持した疑いがある。13日午後4時45分ごろ、渋谷区内の自宅で逮捕され、その後、東京湾岸署に移送された。

槇原容疑者にとって2度目の逮捕になる。同容疑者は自身の経験などから生まれた青春の応援歌「どんなときも。」(91年)が大ヒットし、ブレーク。「冬がはじまるよ」(91)「もう恋なんてしない」(92)などヒット曲を連発していたが99年8月に覚せい剤取締法違反で逮捕。同年12月に懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けた。

判決公判後、「今後絶対にこのようなことを起こさないことを堅くお約束します」と書いた直筆ファクスをマスコミ各社に送付。00年に歌手活動を再開。自身の歌手活動のほか、SMAPへ楽曲提供した「世界に一つだけの花」(03年)など数々のヒット曲を手掛け完全復活を果たしていた。

今回の逮捕容疑となった18年当時、港区のマンションから組対5課は覚醒剤などを押収。このマンションには当時、槇原容疑者とともに所属事務所の元代表の男性(43)が住んでいた。男性は18年3月16日と同30日に覚醒剤所持などで起訴され、同年6月に懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受けている。

この当時の捜索で、男性が槇原容疑者の関与をほのめかし、以来、組対5課は槇原容疑者の所有物であるかどうか、慎重に調べ、今回、新証拠などが出てきたことで逮捕につながったとみられる。男性は99年の事件時にも槇原容疑者と一緒に覚醒剤を所持したなどとして逮捕され、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受けていた。

槇原容疑者は、逮捕前日の12日夜、インスタグラムの槙原敬之スタッフ公式アカウントで写真とともに日本テレビ系「バズリズム02」の収録参加を報告。9日には自身の公式ツイッターで飼い猫の写真を投稿し、「朝どら(笑)おはようございます!」と、普段と変わらない様子の投稿をしていた。

警視庁は今後、覚醒剤などの入手経路など捜査を進める。一方で、逮捕後、尿検査も行われるとみられ、陽性反応が出れば所持だけでなく使用容疑での再逮捕の可能性もある。