作家の村上春樹氏(71)が、22日にTOKYO FMで放送された緊急特番「村上RADIO ステイホームスペシャル~明るいあしたを迎えるための音楽~」で、コロナ禍後の世界について私見を披露した。

村上氏は、リスナーから「アフターコロナについて」と聞かれ「今を生きるだけで大変なのに、アフター、ポストと急に言われても分からないですよね」と吐露した。その上で「自粛生活において、生活になくてはならないもの、なくても困らないものが、少しずつ見えたかも知れない。世界で、大きな社会的実験が行われたのではないか」と語った。

そして「成果は、じわじわ社会に広がっていくと思う。良くも悪くも、これまでの生活を見直すのは良いこと」と利点を語った。その一方で「怖いのは人々が閉塞(へいそく)的になること。グローバリズムが後退し、自分の国に閉じこもるのは怖いかも知れない」と難点も指摘した。

自身の生活については「コロナ環境下でも普段と限らない。1人で家で原稿を書いてきたので。でもTOKYO FMで収録できないのが寂しい。和気あいあいとやっていたので」と自宅の書斎で収録したことへの、物足りなさを吐露した。

また、新型コロナウイルスとの戦いを「戦争」と表現する、世界各所での風潮に苦言も呈した。

「善と悪、敵と味方の対決じゃなく、知恵を絞り合い、生かし合うための知恵の戦い。敵意や憎しみは不要。簡単に戦争に例えて欲しくない」

村上氏は今、必要なものとして「マスクとワクチン…愛です。愛や思いやりがなかったら、世界はギスギスした味気ないものになる。愛って大事です」と語った。その上で、リスナーに「自分の求める何かを、熱く追求してください」と呼び掛けた。