歌手野口五郎(64)が、デビュー50周年メモリアルアルバム「Debut 50th Anniversary~since1971~」を今月3日に発売した。このほど、日刊スポーツのインタビューに応じ、音楽へのこだわりや今後について語った。

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今年5月1日に、デビュー50周年を迎えた。記念アルバムに並ぶのは、ヒット曲「青いリンゴ」「私鉄沿線」や、初のNHK紅白歌合戦で歌唱した「めぐり逢う青春」など13曲。全曲録り下ろし、ドラム、ギター、ベースは全て自分で演奏している。

「世界中で誰もやったことがないよね? ということをやりたくて。今から45年以上前の曲を、もともとのイメージを残しながら、自分でリアレンジして、それを映像に残して、配信する…。すべて一発撮りです。思いが途切れないものを届けたいと思っていて、そこにこだわりました」

通常盤には、可聴音をゆがませない超低周波の深層振動「DMV」を搭載するなど、音楽への追求は尽きない。5月6日に配信したシングル「光の道」では、約2年前から親交があったコブクロ小渕健太郎(43)と初タッグを組んだ。同曲も野口自身が演奏を担当しているが、ピアノは、高3の長女が演奏したという。

「音楽学校に行って、クラシックをずっとやっているんですけど。娘の方から『50周年だから、手伝わせて欲しい』って。思いだけを伝えて、あとは彼女に任せました。これからそんなことがあるのかは分かりませんが、うれしかったですね」と〓(順の川が峡の旧字体のツクリ)を緩ませた。

50年を振り返り「思い通りにはいかない。でもそれが人生」という。18年5月に、「新ご三家」の盟友・西城秀樹さんが亡くなった。同年末には自らも食道がんを患い、手術もした。

「まだ志半ばですが、全てをやり切って天国にいく人はいない。でも、どれだけたくさんの夢を抱えて、志半ばで次の世界にいけるのか…。これが最後というつもりでコンサートの1つ1つを終える覚悟を知ったので、どう人生を終えるかというシフトに変わったことは、大きいです」。

記念イヤーのその先も見据えている。「僕個人としては、どこまで歌えるかが課題ですし、挑戦です。あとは、いつか実際に体にいい、健康にいい音楽を確実なものとして提供できるところまで、やってみたいんです」。そう語るまっすぐな目は、上京当時からきっと変わらないものだろう。【大友陽平】

○…QRコードをスマートフォンで読み込ませ、ライブ映像などをデジタル配信するサービス「テイクアウトライブ」を発案するなど豊富なアイデアの持ち主だが、自ら「僕は“チャッカマン”。いろいろなことを考えるのが大好き」という。自宅のあらゆるところに、使用済みのA4用紙を切ったメモ帳が置いてあるといい「思い付いた時に、アイデアを書けるように。なぜ使った紙かというと、白紙だとどこから書こうかと構成を考えてしまって、その瞬間にアイデアが消えちゃうので」と明かした。

◆野口五郎(のぐち・ごろう)本名・佐藤靖。1956年(昭31)2月23日、岐阜県生まれ。71年に「博多みれん」でデビュー。西城秀樹さん、郷ひろみとともに「新ご三家」と呼ばれ、「私鉄沿線」などヒット曲多数。日本テレビ系「カックラキン大放送!!」などバラエティーや、TBS系「メゾン・ド・ポリス」(19年)など俳優としても活躍。01年にタレント三井ゆり(51)と結婚し、現在高3の長女と高1の長男。血液型A。