テレビなどでも活躍した美容家の佐伯チズ(さえき・ちず)さんが5日午後4時59分、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のため東京都内の自宅で死去した。76歳。葬儀・告別式は親族で行った。喪主は長男佳之(よしゆき)氏。

佐伯さんは今年3月、公式サイトや動画を通じ、ALSを公表した。昨年秋から右足に違和感があり、同年末には思うように動かせなくなったという。動画では「私はまだまだ負けない。決してあきらめません。頑張ります」と、時折涙を見せ話していた。

個人事務所関係者によると、佐伯さんの希望で自宅療養を続けていたという。最近まで取材を受けたり、7月に発売する著書「夢は薬 諦めは毒~あなたに寄り添う33の言葉」の打ち合わせをするなどして過ごしていた。最期は佳之さんをはじめ、近しい人たちで見送ったという。お別れの会については、新型コロナウイルス感染拡大が収まってから開催を検討するとした。

滋賀県生まれ。フランスの化粧品メーカーを定年退職後、エステサロンを開業。03年に発表した著書「佐伯チズの頼るな化粧品! 顔を洗うのをおやめなさい!」がベストセラーに。エステティシャンとして活動しながら、講演やメディアで活躍した。

◆筋萎縮性側索硬化症(ALS) 手足、のど、舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がやせて力がなくなっていく国指定の難病。運動をつかさどる神経が障害を受け、脳からの「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなる。大リーグで2130試合連続出場のルー・ゲーリッグ内野手(ヤンキース)が患ったことから「ルー・ゲーリッグ病」とも言われる。宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士や「クイズダービー」で知られる篠沢秀夫名誉教授らも闘病。米では14年にALS支援運動、アイス・バケツ・チャレンジが広まった。