国内では7月から演劇活動が再開する動きが徐々に出ているけれど、欧米ではより厳しい状況が続いています。

ニューヨークのブロードウェーでは劇場の閉鎖が9月6日まで続くことが決まっており、その後も再開できるかは不透明です。再開しても、以前のような座席数を確保できない上に、観劇する観光客もすぐには戻らないためです。

ブロードウェーと同様に劇場の閉鎖が続くロンドンのウエストエンドでは、早々と人気ミュージカルの年内の公演中止が決まりました。「レ・ミゼラブル」「オペラ座の怪人」「ハミルトン」「メリーポピンズ」などの人気ミュージカルを制作する大物プロデーサーのキャメロン・マッキントッシュ氏が来年まで上演再開を延期すると発表したのです。

マッキントッシュ氏によると、感染防止についてのソーシャル・ディスタンス(社会的距離)などの規制が解除されていないため、再開の見通しが立たないということだそうです。この状況が続けば、多くの舞台に関わる俳優やスタッフの解雇を余儀なくされるだけでなく、英国国内の1000を超える劇場の中にはつぶれてしまうところも出てきそうです。

例年なら、春から夏にかけてブロードウェー、ウエストエンドで新作ミュージカルが上演され、その話題が日本にも伝わってくるのですが、7月にプレビューを予定していた故マイケル・ジャクソンの半生を描いた新作ミュージカルも来年3月に延期になるなど、軒並み延期となっています。新型コロナウイルスは、世界の演劇状況に大きな影響を与えています。【林尚之】