村上虹郎(23)と芋生悠(22)が19日、都内の日本外国特派員協会で行われた主演映画「ソワレ」(外山文治監督、28日公開)会見で、プロデューサーを務めた豊原功補(54)から絶賛された。

村上と芋生は会見の冒頭で、豊原から「普遍的な物語中にセンシティブな人間描写、背景が含まれておりますが、それも、外山文治という監督の作家性を重視し、映画の創作においての純度、密度をを高く保とうという志からくるもの。村上虹郎、芋生も我々の思いを携え、素晴らしい力強い演技を披露してくれた」とたたえられた。

「ソワレ」は、和歌山県御坊日高を舞台に、俳優として売れずオレオレ詐欺で食いぶちを稼ぐ翔太(村上)が故郷の高齢者施設で演劇を教える中で職員のタカラ(芋生)と出会い、刑務所帰りの父に暴行を受けたタカラをかばい、逃避行の旅に出る物語。

村上は、外山監督の17年の短編「春なれや」以来2度目のタッグとなる。演じた翔太という役について「翔太が抱える葛藤、壁みたいなものは、僕自身にも近いものがずっとあって。大事だなと思うのは、まず勉強すること、自分に対して厳しいことを言ってくれる人、愛を持って厳しくしてくれる人と出会い、見つけること」と語った。

100人以上のオーディションから選ばれた芋生は、豊原とアソシエイトプロデューサーを務めた小泉今日子(54)が演技に集中できる環境をつくってくれたと感謝した。

芋生 今回の映画は、役者である先輩方がプロデューサーとして、自由に表現する場を作ってくださった。私は役者として、これから一生、やっていきたい。自由に思い切り表現できる場があることは本当に幸せ。みんなで一緒に1つのもの作ることが出来ることが幸せ。そういう場がずっと失われないこと。身の回りのことでしかないかも知れないけれど、映画が好き。愛し続け、役者として生き続けることで、不寛容さでもどかしさを感じている人に、少しでも希望を与えられたらいいなと思います。

7年ぶりの長編映画を、脚本から作り上げた外山文治監督(39)は、海外の記者からの質問、称賛の声が相次ぎ、司会が「主演のおふたりにも質問をどうぞ」と促すほどだった。同監督は、開始から36分にタイトルを入れた意図を聞かれ「(タイトルの前後では)撮り方が全然変わっている」と切り出した。その上で「最初はドキュメンタリックに撮っている。私たちが普段、生きている生活の中に彼ら(主人公)がいることを明確に表したい。ドラマより、起こる事象、抱えているものを、少し距離感を持って撮影した。事件が起きたら(主人公)2人の人生が大きく動いていくということで、映画の撮り方、カット割りを選択した」と説明した。