米俳優ジョニー・デップ(57)が、元妻で女優のアンバー・ハード(34)に対して暴力をふるう「ワイフビーター(妻虐待者)」だと自身について報じた英大衆紙ザ・サンを相手取って起こしていた名誉毀損(きそん)訴訟で2日、英裁判所はデップの訴えを棄却し、暴力があったことを認定した。

判事はデップがハードをたたいたり、髪の毛を引っ張るなど暴行を加えて命の危険にさらしたことを認め、報道内容は「おおむね真実であることが証明された」としてデップに対する名誉毀損には当たらないと判断したという。サン紙は記事の中でデップは少なくとも14件の暴行事件を起こしていたと報じており、「英国における21世紀最大の名誉棄損裁判」と呼ばれた訴訟は、約3週間にわたってデップの暴力や薬物乱用などについて証言が行われていた。

2人は映画「ラム・ダイアリー」(2011年)で共演したことがきっかけで15年2月に結婚するも翌年5月にハードがデップからのDVを理由に離婚を申請。泥沼の離婚裁判に発展していた。ザ・サン紙は18年に、結婚中にデップはハードに対して暴力を振るうワイフビーターだったと報じたが、デップは事実無根だとDVを完全否定。名誉毀損だとして同紙を発行する新聞社と編集長を訴えていた。裁判にはハード本人も出廷して証言していた他、デップが薬物を乱用していたことを裏付ける証拠として写真なども提出されていた。デップの弁護士は判決に対し、「非常に欠陥があり、ジョニーが不服を申し立てないのは、ばかげている。当惑するほど不条理だ」とコメントし、控訴する考えを示している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)