先日、伊藤沙莉(26)をインタビューした。今年は映画だけで実写6本、アニメ1本、日本語吹き替え1本に出演し、11月だけで3本の実写映画が公開と、今、最も勢いに乗っている女優と言えるだろう。

取材の際「忙しいの基準が、分かんないんですよ。『忙しいんでしょう?』と聞かれるんですけど、これが忙しいのかしら? という感じですかね」と笑ったが実際は相当、多忙だろう。インタビューの打診をした際、どうしても深く、しっかりと取材したいからと、こちらのわがままで申し訳ないくらい長い取材時間をリクエストした。快く応じていただいた代わりに、公開中の映画「ホテルローヤル」(武正晴監督)の取材を9月、主演映画「タイトル、拒絶」(山田佳奈監督)を10月と、2カ月にわたって、違うタイミングで取材する運びとなった。

インタビューは11月15日付の紙面に掲載され、22日にはウェブニュースとして配信された。そのインタビューでは泣く泣く割愛したものの、以前からどうしても聞きたくて、伊藤に聞いた話を紹介したい。

伊藤は、自身の公式ツイッターアカウントの冒頭に「【さり】ではなく【さいり】です。」(原文のまま)と書いている。その名前の読み方について、名前の由来を含めて最後に聞いてみた。

伊藤 元々、うちはお兄ちゃんの名前が俊介(お笑いコンビ・オズワルド伊藤俊介)で、お姉ちゃんが史織…そうなった時に、お母さんが「ヤバい。普通の(名前)をつけすぎた、スタンダードにきちゃった。ここで変化球をやってみようかな」みたいな感じで「さいり」にしたんですね。「さゆり」とか「さおり」…その流れの名前が、すごいきれいで、かわいいと思っていたらしくて。個性的に育って欲しい、この子の個性を大事にしたいみたいなことを考えたらしく「さ・い・り」だったら(他に)いないかもと思ってつけたんですけど。

名前の読み方は「さいり」になったが、そこに「沙莉」という漢字を当てたのは、祖父だという。

伊藤 漢字をつけるのは、おじいちゃんだったんですね。(母が)おじいちゃんに「さいりで!」って言って投げたら、何のおしゃれだったか、読みを間違ったか分からないけれど、突然「沙莉」って提出してきたんです。でも、お母さんが「個性的なのがいいから、いいか。これで無理やり『さいり』にしちゃえ」みたいな感じで(出生届を)提出したんです(笑い)

沙莉と書いて「さいり」と読むのが正しいかと尋ねると、読み方を決める家族会議が開かれたことと、その内幕を語った。

伊藤 真ん中の「い」は(漢字の)どこにつけたらいいの? って感じ…全然、いまだに分からない(笑い)でも…一応、うちらの家族で1回、家族会議をして。「『い』って(読みを漢字の)どっちに入れる?」みたいになって。「どっちでも、いいよね?」ってなった時に「でも『り』は『莉』(の方の読みで)でいきたいじゃん」ってなったら「『い』はこっち(沙)にやっても良くない?」って…。「『沙』の方に『い』(の読み)を入れない?」ってなって決定したから、一応「さい・り」になっているんですけど。

伊藤が自らつづった

「【さり】ではなく【さいり】です。」

の奥深い背景を知り、ますます興味が湧いた。その中、ふと思った。舞台あいさつなどで「伊藤沙莉さんです!」と紹介された際、アクセントを「さ」につけるケースと「い」につけるケースの、2パターンがある。記者は「い」にアクセントをつけるけれど…一体、どちらが正しいのだろう? そのこと含め、今後も伊藤沙莉という、魅力的な女優を追いかけていきたい。【村上幸将】