今年で29回目を迎えたフジテレビ系列28局の「FNSドキュメンタリー大賞」の大賞が、鹿児島テレビ放送の「テレビで会えない芸人」に決定した。来年1月3日に「決定!第29回FNSドキュメンタリー大賞」(午前4時55分、関東ローカル)としてノーカットで放送する。

鹿児島テレビ放送の大賞受賞は初めて。同作は20年日本民間放送連盟賞・テレビエンターテインメント番組最優秀賞に次ぐ受賞となる。

番組内容は、ひそかに注目を集めるお笑い芸人についての特集。テレビに出演することはなく、主戦場は舞台、その公演は満員で、チケットは入手困難だ。芸人の名…松元ヒロ、鹿児島生まれ。「政治」や「社会」を「笑い」で斬る、その芸はテレビでは会えない、なぜか。19年春から1年間、松元ヒロに故郷のカメラが密着した。テレビで会えない芸人から今の世の中をのぞいてみる。その先には「モノ言えぬ社会」が浮かび上がってきた。

鹿児島テレビ放送の報道制作局制作部・四元良隆プロデューサーは「『不寛容な時代』と言われています。少しでも、世の中と合わない意見や表現方法をすればすぐにバッシングにさらされ、取り除かれていく。この社会を反映するかのように、私たちのテレビの世界にもその波は押し寄せています。いつしか“批判されない”ことが最優先になり、コンプライアンスの名の下、この流れは加速する一方です。結果、何となくモノが言いづらい社会になっているような気がします。そうした中、芸人・松元ヒロさんと出会いました。テレビでは取り上げない話題をネタにしては、笑いで不寛容な社会へ問いかけます。会場は満員、しかし、テレビでは会えません。なぜなのか、故郷のカメラが見続けました。そして、大切なコトを教えてもらいました。今回、このような賞をいただいたことを励みに、また地方から“モノ言うテレビ”を作り続けていきたいと思います」と話している。

優秀賞は沖縄テレビ放送「海の向こうの首里城」、特別賞はテレビ愛媛「じいちゃんの棚田はいま…~百選の里の20年~」と富山テレビ放送「国に抗った男~ヤミ米屋 川崎磯信~」。以上の3作品もダイジェストで放送する。