伊藤沙莉(26)が「劇場」「十二単衣を着た悪魔」「ホテルローヤル」で、助演女優賞を受賞した。03年に子役としてデビューし、18年。19年の東京国際映画祭日本映画での東京ジェムストーン賞など受賞歴はあるが、歴史あるブルーリボン賞での初受賞に「賞を意識して取りに行こうというのは性に合わないけれど、ニュースで発表を見ていて毎年、選ばれた人に説得力がある。いつかそこに立っていたい、選ばれたんだと思われる側になりたいという夢があった」と喜んだ。

「劇場」で山崎賢人演じる主人公の劇団の後輩、「十二単衣を着た悪魔」では「源氏物語」の世界に生きる倫子、「ホテルローヤル」では親が不倫相手と失踪し、雨宿りで教師とラブホテルを訪れた女子高生と、幅広い役どころを演じた演技力が評価された。「うれしいし、ありがたい。その分、なおさら引き締めていかないといけない。自分が、お芝居をこれからも好きでいたり、ずっと続けていく…極めていくことに対して、誰かに求めてもらうことが、自分を奮い立たせる何かになっていったらいい。ただ100%満足はしないでいきたい」と語った。

20年は新型コロナウイルスの感染拡大で自粛を余儀なくされた。その中で「改めて、仕事がメチャクチャ好きなんだと思ったし、あんなに芝居が好きなんだ、好きなことが仕事になっていたと気付かされた」という。その中、映画だけで実写6本、アニメ1本、日本語吹き替え1本に出演し、11月だけで主演映画「タイトル、拒絶」を含め3本の実写映画が公開された。その中で「映画がコロナの影響もあってダダダッと公開したことも、自分の中で『伊藤沙莉第1章が終了した』と思った」という。

「女優第1章」と語る、ここまでは「自信がないOLとか、自分が想像しやすい役が多かった」という。その上で、第2章について「今まで手を出してこなかったジャンル、避けてきたり、手が届かないと思っていた役割に直面していく機会が、少しだけありそうな気がしている」と語った。

20年4月期のNHK総合の連続ドラマ「いいね! 光源氏くん」で演じたような、恋愛ドラマでど真ん中に立つヒロインを演じる機会も“女優伊藤沙莉第2章”には増えてきそうだ。伊藤は「自信がないじゃ、まかり通らないようになってきている。何かを奮い立たせなければいけない。ぬくぬくして、いられない。」と語った。その上で「1こ、自分にない自信がつくのは私の中で大きい。ただ、そこに立っていることに対して、今回の受賞は必要で大事な柱になる」と、ブルーリボン賞受賞が今後の支えになると強調した。

兄の伊藤俊介(31)は、お笑いコンビ・オズワルドとして、M-1グランプリで2年連続で決勝に進出した。伊藤は「お兄ちゃんは口が軽いし、芸人さんだから、漏れたくない情報は流さない」と、LINEでさえ報告していないと明かした。その上で「お兄ちゃんは父親みたいなもの。何かを成し遂げると喜んでくれる」と笑みを浮かべた。【村上幸将】

◆ブルーリボン賞 1950年(昭25)創設。「青空のもとで取材した記者が選出する賞」が名前の由来。当初は一般紙が主催していたが61年に脱退し、67~74年の中断を経て、東京映画記者会主催で75年に再開。ペンが記者の象徴であることから、副賞はモンブランの万年筆。主演男、女優賞受賞者が、翌年の授賞式で司会を務めるのが恒例。

※第63回ブルーリボン賞授賞式は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開催を見送ります。