大友啓史監督(54)が2日、東京・新宿ピカデリーで行われた映画「るろうに剣心」シリーズ過去作一挙上映記念パート1&最新作「-最終章 The Final」(23日公開)有料試写会付きトークショーに登壇した。

「-最終章 The Final」公開前に観客を入れて行う唯一の上映会ということで、チケットは即、完売したという。大友監督は「(観客に)初めて見ていただく…恋い焦がれていたんです、見ていただくのに」と感激の思いを口にした。

「るろうに剣心」は、集英社「週刊少年ジャンプ」で94~99年まで連載された漫画家・和月伸宏氏による剣客漫画の実写化作品。17年9月から続編「-明治剣客浪漫譚・北海道編-」が「ジャンプスクエア」で連載中。10年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」でチーフ演出を務めた大友監督が11年にフリーに転身後、同作で岡田以蔵を演じた佐藤健(32)を主演に第1作を製作。12年に公開し、興行収入30億円超の大ヒットを記録し世界各国で公開された。14年8、9月には続編「-京都大火編」「-伝説の最期編」を連続公開。2作合計で興収約95億円を記録し、シリーズの累計興収は125億円に上る。

大友監督は、11年7月から撮影に入った第1作を作るにあたり、佐藤とタッグを組んだ当時の思いを語った。

「今でこそ佐藤健君は(人気、実力ともに俳優として評価された)健君だけど…22歳の若者と心中するつもりで会社(NHK)を辞めた。1人でも多くのお客さんに見ていただかないとと思い、若かったので走り回った。成功イコール1人でも多くに届くことで、それが次につながって、5年くらいかかって、最後の作品を撮ることに至った。結構、ビッグなプロジェクトになり…平凡な言葉になってしまいますけど、今日、ここに来てくれたようなお客さんがいてくれるから、ここに来られた」

「-The Final」と6月4日公開の「-The Beginning」は18年11月にクランクインし19年5月にクランクアップした。佐藤演じる伝説の剣客「人斬り抜刀斎」こと緋村剣心の、語られることのなかった、ほおにある十字傷の謎に迫る物語と、「京都大火編」で登場した宿敵・志々雄真実(藤原竜也)を裏で操るシリーズ最恐の敵・雪代縁(えにし=新田真剣佑)との戦いを描く。剣心の妻だった女性・雪代巴(ゆきしろ・ともえ=有村架純)も登場する。

大友監督は、前作から5年を経て剣心を演じた佐藤の姿に、興奮すら覚えたと語った。

「映画は集団芸術だったりするから10年、同じ人間が重ねてきていれば、1から説明することはなく、僕がどういう映像を目指しているか、どういう作品を作りたいか共有できている。健君が5年ぶりに衣装を通したとき、5年ぶりに剣心が帰ってきたと僕らが興奮した。彼の心の中に剣心が住んでいる。お互いにやることが分かっている。具体的な話をしたけれど、何かをどう、とかじゃない。走るべき方向が分かっている。0じゃなく5、6から始まる。100%じゃなくて、どこまでいけるか…やりきれたんじゃないか」

シリーズのウリのアクションも、俳優陣の全身から、きしむ音が聞こえてきそうな、最高到達点とも思える仕上がりとなった。大友監督は「危険もある中、練習して自分のものにしていき、出来るだけ自分たちで、剣を振るえて当たり前の設定を実現するため、俳優が献身的に努力する思いに答えたい。シリーズで言えば10年の最後、着地させたい、皆さんの心に届けばいい」と熱く語った。