「四月大歌舞伎」が3日、東京・歌舞伎座で初日を迎え、「勧進帳」に出演する歌舞伎俳優松本白鸚(78)が弁慶役を務めた。本興行最年長での弁慶役となる。

16歳から60年以上ともに歩み続けた役で、この日が1151回目。花道から堂々たる山伏姿で登場すると、大きな拍手が起こった。勧進帳の読み上げ、力強い立ち回り、勇壮な舞など、1時間以上の演目で弁慶の魅力を熱演。最後は最大の見せ場である花道での「飛び六方」も披露し、“最高齢弁慶”の存在感で客席を沸かせた。

また、関守の富樫役を演じる松本幸四郎(48)との親子共演も大きな見どころとなった。弁慶役は、幸四郎と1日交替のダブルキャストで演じている。

白鸚は「このご時世で、しかもこの年齢でやらせていただけますこと、また、息子と1日替わりで務められるのは本当にうれしゅうございます。覚悟を決めて務めたいと存じます」。また「ちょっとでも集中が欠けると弁慶が弁慶ではなくなりますし、それをお客さまに見透かされてしまいます。今現在の白鸚の声、芸をお見せして息子と対抗したいと思います」としている。

四月大歌舞伎は28日まで。