米俳優ウィル・スミス(52)と映画「トレイニングデイズ」(2001年)などで知られるアントワーン・フークア監督がタッグを組む新作映画「エマンシペーション」が、物議を醸す米ジョージア州の新投票法を理由に同地での撮影をボイコットすることが明らかになった。

同作は米アップルが1億2000万ドル(約132億円)以上で世界配給権を獲得したと伝えられるアクションスリラーで、奴隷制度が残る1800年代の南部を舞台に脱走した奴隷の実話を基にした作品。6月から同州で撮影が開始される予定だった。

2人はジョージア州の新法について「投票者のアクセスを制限するものだ」と非難し、同地で撮影を行うことはもうないと明言。そのような投票法を制定する州政府に経済的支援を提供することはできないとCNNテレビに語っている。

ジョージア州では映画やテレビの撮影を誘致するために税制上の優遇措置を提供しているため、ハリウッド映画のロケ地として人気が高い。

ジョージア州の新投票法は、不在者投票には州が発行した身分証明書の提示の義務付けや投票箱の設置を制限することなどが盛り込まれており、黒人ら少数派の有権者の権利を奪うものだとしてコカ・コーラなど地元企業からも批判の声が上がっている。

大リーグも7月にアトランタで行われる予定だった球宴の開催を取りやめることを発表し、コロラド州デンバーに開催地を変更している。ハリウッドでは、同作がジョージア州での撮影を取りやめた最初の主要作品となった。(ロサンゼルス=千歳香奈子)