昨年11月30日に2カ月半遅れで始まったNHK連続テレビ小説「おちょやん」は14日、本編の最終回を迎えた。NHK大阪拠点放送局の角英夫局長は、13日の局長定例会見に代わる書面での回答で、4月下旬放送の「花籠」場面に「鳥肌が立った」。杉咲花演じたヒロイン千代への「花籠」の送り主が、宮沢エマふんする継母栗子だったと判明した放送分を“名場面”として言及した。

場面は4月26日から放送された第21週。千代を9歳で奉公に出した栗子が、道頓堀を飛び出した千代と再会して展開された物語だ。

栗子は、番組冒頭でトータス松本が演じていた父テルヲに連れられて千代のもとに現れたが、三味線を弾くなどし、家事もせず。千代への愛情も感じさせなかった。結果、千代は幼くして奉公へ出され、ヒロインからすれば「恨む」相手だったが、時を経て、京都で栗子の孫と生活を始め、その中で、後の千代へ「花籠」を贈り、激励を続けてくれていた存在が、栗子だったと判明した。

角局長は、朝ドラの総括を求めた回答で「ヒロイン千代にとって最も遠い存在のまま母栗子が『実はずっと花籠を贈って応援し続けてくれていた』と明かした4月下旬には『思いもよらなかったので涙が止まらなかった』など、反響が多数届き、わたしも見事な筋書きと2人の演技に思わず鳥肌がたったほどでした」とし、名場面のひとつにこの放送週をあげた。

また、番組に対しては「緻密な脚本や個性的な出演者のみなさんの演技に対し『これぞ泣き笑い』といった好意的な意見が多数寄せられ、制作現場の励みになっていました」とし、コロナ禍で奮闘していた出演者、スタッフのエネルギー源が視聴者の励ましだったとも明かした。

「おちょやん」は、トータス演じた父をはじめ、ヒロインを苦しめ、悩ませるキャラクターが多く登場したが、最後は“和解”“理解”を得ており、半年に及ぶ放送で、視聴者からの共感も多くつかんだようだ。

今作は一昨年10月30日にヒロイン発表を行い、杉咲に決定。昨年4月2日にクランクインしたが、直後に緊急事態宣言が発令され、収録は休止。その期間は2カ月半にも及んだ。

収録開始当初はまだ、子役らの収録のみで、ヒロイン杉咲らメインキャストの収録開始は通常より2カ月以上も遅れ、同6月24日に再開。例年なら放送が終了している今年4月14日にクランクアップを迎えた。

例年の大阪制作朝ドラでは、収録期間は「10カ月」が基本だが、1年を越えての長丁場収録でもあった。

クランクアップを迎えた際、杉咲は、コロナ禍でも工夫を凝らして収録を続けたスタッフや仲間に「自分の仕事に誇りを持っていて、その姿がひとりひとりみんな輝いていて、本当にすてきな現場でした」とコメントしていた。