永瀬正敏(54)が25日、オンラインで行われた、宝酒造の全量芋焼酎「一刻者(いっこもん)」20周年ブランド戦略発表会に出席し、初のアンバサダーに就任した。永瀬はブランド20周年にちなみ、今年20歳を迎える若者に向けて「半歩前へ」とメッセージを送った。「半歩でも、未来に挑んでいく。踏み出すのは大きな1歩ではなく、半歩でも良いから未来に歩を進めて欲しい。怖がらずに、勇気を持って進んでいく半歩が1歩、2歩、10歩になる」と静かな口調ながら、熱っぽく呼びかけた。

一刻者は、原料に南九州産のさつまいもを100%使用し、独自の芋こうじで仕込んだ全量芋焼酎で、2001年(平13)9月の発売以来、累計で約6700万本(720ミリリットル換算)を販売した。俳優、タレントを起用したPRは行ってこなかったが、焼酎作りの本場・宮崎県の黒壁蔵で製造する本格芋焼酎であることをアピールする目的から、同県出身の永瀬に初のアンバサダー就任を依頼した。永瀬は「とても光栄に思っていますね。宮崎出身なので、同じ宮崎でご縁を感じております。(宮崎の人にも)喜んでいただきたいですね」と笑みを浮かべた。

永瀬自身、芋焼酎は以前からロックで楽しんできた。映画で共演した先輩、後輩の俳優たちと一献を酌み交わすのが大好きだが、コロナ禍の昨今は家飲みが中心だ。「今は自宅で1人でチビチビという感じですけど(一刻者は)僕みたいな若輩者から先輩まで楽しんでいただけると思う。今の状況に打ち勝ったら、みんなで一刻者で乾杯したい」とコロナ禍の1日も早い収束を願った。

一刻者とは、頑固者を表す南九州の話し言葉だ。永瀬は、自身は一刻者かと聞かれると「自分で言うのも何ですけど、僕はものを作る職業なので、そこにはこだわりを持っているというか…一刻者です」と即答した。1982年(昭57)に高校生の全国オーディションを受け、約1万5000人の難関を勝ち抜き、相米慎二監督の映画「ションベン・ライダー」(83年)でデビューして39年。「出演する作品、演技は柔軟ということかもしれないですけど、柔軟がこだわりかも知れないし、受け入れることも含めて、ですね。チャレンジしていこうという気持ちが、強いのかも知れませんね」と語った。

映画へのこだわりは深く、作品の大小を問わず、自らが心動かされる作品への出演を続けてきた。1990年(平2)のジム・ジャームッシュ監督の米映画「ミステリー・トレイン」で世界的に評価されるなど、海外での活動も豊富だ。「映画においては出る方も、見る方も信じてきた。映画から力、勇気をもらって、助けられた面はたくさんある」と映画への思いを語った。

また写真家としても活動しており、発表会では故郷・宮崎で撮った3作品も紹介された。一方、アンバサダーとして撮られた自身の写真が公開され、その男前ぶりを評価されると「すてきに撮っていただいただけです」と照れ笑いを浮かべた。

発表会の最後に、永瀬は「半歩前へ」というメッセージを20歳の自分に伝えたいかと問われると「大いに伝えたいですね。海外の仕事を行っていましたし、背中をもっと押してあげたい…まず半歩からで良い」と語った。その上で「5、10、20年後…歩を進められたら。僕も精進したいと思います」と終始、謙虚に自身の思いを、切々と語った。