文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)は、映画「宮本から君へ」(真利子哲也監督)の製作会社スターサンズが助成金交付内定後に下された不交付決定の行政処分の取り消しを求めた裁判で、不交付決定処分の取り消しを命じる判決を下した東京地裁判決を不服として控訴した。控訴は2日付。
それに対し、スターサンズの河村光庸代表は5日、声明を発表し「具体的な対応については、控訴理由が明らかになった段階で検討する所存です」とした。
映画が完成した19年3月12日、出演者のピエール瀧がコカインを使用したとして麻薬取締法違反容疑で逮捕。同6月18日に懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡された。製作側には芸文振から1000万円の助成金交付内定が通知されていたが、同7月「公益性の観点から適当ではないため」との理由で不交付決定通知書が送られた。原告側は行政裁量の逸脱、乱用だと一貫して主張し、東京地裁は6月21日に「芸術団体等の自主性等を重んじる観点から、裁量権の範囲の逸脱またはその乱用にあたり違法」とし、主張を全面的に認めた。
判決言い渡し後に会見を開いた河村代表は「うれしく思うが、文化芸術に対する公益性は何か、明確に答えてもらいたかった」と語っていた。同代表は控訴を受けて「弊社としては、控訴審が開かれることによって、『公益とは何か』『行政裁量はどこまで許容されるのか』といった極めて重要な論点について文化芸術を担う人だけではなく、多くの人々の間で更に議論が深まるものと認識しております」ともコメントした。



