演歌歌手・鳥羽一郎(本名木村嘉平=よしひら、69)が19日、川崎市のクラブチッタで息子デュオの「竜徹日記」と初の親子コンサート「鳥羽一郎・竜徹日記ライブコンサート2021」を開催した。

「竜徹日記」は鳥羽の長男の木村竜蔵(32)と次男の木村徹二(30)が16年に結成した兄弟デュオ。竜蔵はすでにソロ歌手としてメジャーデビューしていたが、大学を卒業した徹二を誘って結成した。結成の動機は「演歌では父親に勝てない。父親にない土壌ならいつか勝てるかも」だった。デュオ名は、母親が2人の育児ビデオのタイトルを「竜徹日記」としていたことから付けた。鳥羽のライフワーク「海難遺児チャリティー漁港コンサート」にゲスト出演したことはあるが、親子での本格的なコンサート開催は初めて。同コンサートは1月末に同所で開予定だったが、コロナ禍で延期になっていた。この日も感染防止対策を徹底し、収容人数の半分の約300人で開演した。

鳥羽は「(コロナ禍で)しばらく歌っていないので、緊張しています。親子でコンサートができるということより、お客様の前で久々に歌えることが本当にうれしい」と話した。竜蔵も「親子とかではなく、歌えるこのような場があることに感激しています」。徹二は「兄と2人ではこういう大きなライブハウスではできないので、父の力を借りて多くの方に見ていただけることがうれしい」。

コンサートは、鳥羽と「竜徹日記」のそれぞれのコーナーと、3人共演で構成された。鳥羽は最新曲「男護り船」や代表曲「兄弟船」などを熱唱。「竜徹日記」は、2人で作詞作曲した新曲「めぐりめぐる」(9月22日発売)などを披露した。鳥羽のヒット曲「カサブランカ・グッバイ」を3人で歌うと、大きな拍手が起きた。

「竜徹日記」の新曲「めぐりめぐる」は、JF共済創設70周年記念イメージソングに起用された。潮風を感じる秀作だ。同共済は漁業関係者らの暮らしの保障を提供・運営する事業。海の男と言えば父の代名詞だが、鳥羽は「仕事の話はほとんどしないので、イメージソングになったことも全然知らなかった。聞いてとてもうれしかった。ぜひ頑張ってほしい」と話した。

鳥羽は来年デビュー40周年を迎える。ライフワークの海難遺児チャリティー漁港コンサートも節目の100回まであと4回に迫っている。「こういうご時世だが、できることを頑張るだけです」。

「竜徹日記」としての目標について、竜蔵は「日本で1番仲のいい兄弟ユニットにしたいです」。徹二は「小さいころから見ていた紅白歌合戦に、親子で出られればと思います」。2人ともイケメンだがまだ独身。「(父から)結婚はどうなってるとか、まったく言われていません」と異口同音に言うと、鳥羽は苦笑いしていた。【笹森文彦】