演歌歌手坂本冬美(54)が、デビュー35周年記念のカバーアルバム「Love Emotion」を27日に発売する。

これまで、カバーアルバムとして演歌集「ENKA」シリーズ3作、ポップス集「LOVE SONGS」シリーズ6作をヒットさせてきたが、10作の節目に「人間の情念」にスポットを当てたコンセプト作を作り上げた。

話題を呼んでいるのは鬼束ちひろ(40)が歌唱した「ヒナギク」だ。もともと、坂本をイメージした作品を書きたいという意向のあった鬼束が曲を作り、17年2月に同曲のデモ音源を坂本に届けた。だが、当時はリリースのタイミングが合わずに坂本の歌唱は実現せず。鬼束自身が18年8月にシングル曲として発売した経緯があった。今回、鬼束は坂本のレコーディングに立ち会う熱の入れようで、楽曲が“元のさや”に収まるのを見守った。

5年越しの「ヒナギク」歌唱実現について、坂本は「これ実は、数年前に鬼束さんが私のために書いてくださった作品ですが、タイミングなどがいろいろ合わなくて、レコーディングまで至らなかった歌なんです」と説明。そして「それで先に鬼束さんがシングルとして発売されたんです。そして今回このアルバムを作るにあたり、“情念”というテーマにピッタリなので、あの『ヒナギク』を歌わせてもらいましょう! となったんです。私より若い世代が聴いても、自然に受け止めていただける歌だと思います」とコメント。

鬼束も「冬美さんはヒナギク。それをイメージしてこの曲が出来上がりました。可憐に凜(りん)と咲くヒナギク。私が歌うよりも、はるかに、ヒナギクです!!笑」と応じた。

アルバム収録11曲のうち、カバー10曲は新録音で、唯一、昨年11月発売の「ブッダのように私は死んだ」だけは自身の曲を収めた。ほれ込んだ男性に尽くしてだまされ、命まで落とした女性の情念を描いた同曲の世界観はまさに「情念」そのもの。坂本は「私が大好きだった曲や、まさかこの曲を歌うことになるとは、といった曲まであらゆる『情念』を歌っています。ぜひ、坂本冬美の心に秘めた『情念』を感じ取ってください」と35周年を飾る新アルバムをアピールした。