東京国際映画祭が8日、閉幕し、都内でクロージングセレモニーが行われた。観客賞は、池松壮亮(31)と伊藤沙莉(27)が主演した映画「ちょっと思い出しただけ」(松居大悟監督、22年早春公開)が受賞した。登壇した松居大悟監督(36)はトロフィーを手に「東京国際映画祭は4回目の参加で、初めて両手に重さを感じているのが、すごくうれしい」と涙ながらに喜んだ。

映画は、ロックバンド「クリープハイプ」の尾崎世界観が、自身が愛する映画「ナイト・オン・ザ・プラネット」から着想を得て作曲した「ナイトオンザプラネット」に、同監督が触発されて脚本を作り上げた、オリジナルのラブストーリー。けがでダンサーの道を諦めた照生と彼女でタクシードライバーの葉との、コロナ禍以前からの6年間を描いた。

松居監督は「この2年くらいの世界中の、ちょっと苦しい、悔しい時間だったりというものが、ただ悲しい、嫌な時間だったりではなく、人と会う瞬間のうれしさ、鮮やかさが愛しく思える、過去と今を等しく抱き締められるように…前に進んでいけるように作った」と語った。その上で「尾崎君の作ってくれた主題歌で生まれた映画。明日(9日)は尾崎君は誕生日。誕生日プレゼントとして伝えられるのがうれしい」と涙した。そして「これからも映画、作ります。頑張ります」と意気込んだ。