「三度目の正直」を目指す。漫才日本一を決める「M-1グランプリ2021」決勝が19日、都内で行われ、テレビ朝日系(制作・ABCテレビ、北海道内ではHTB)で午後6時34分から生放送される。

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3年連続決勝進出した「オズワルド」の畠中悠(34)は函館市出身。ほのぼのとした独特な畠中のボケと、伊藤俊介(32)のシュールなつっこみで人気を博し、7月には「ABCお笑いグランプリ」を制した。勢いに乗って、今度は初のM-1タイトルをつかみにいく。【取材・構成=永野高輔】

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人気上昇中のオズワルドが、ビッグタイトルをつかみ21年を締める。

畠中 M-1は中学のときに始まったあこがれの世界。決勝に行くのもすごいし、優勝なんて妄想の世界だったが、目の前に近づいている。ここ3回で一番優勝に近いところにいる気がする。絶対逃したくない。

重圧をはねのけ3年連続の決勝進出を果たした。

畠中 準々決勝まではプレッシャーがありましたが、準決勝ぐらいから、自分らが普通に面白いと思うことをやるだけでいいんじゃないかと。今の自分らの実力を発揮できたら後悔はない。決勝も、その気持ちで臨めたら。前回決勝は松本(人志)さんと(オール)巨人師匠に正反対のことを言われた。松本さんは「もう少し静かな漫才が見たかった」、巨人師匠は「最初から大きい声で突っ込んだ方が良かったのでは」と。2つのアドバイスを僕らなりに考え、去年はちょっと、不自然な会話になってたことに気付いた。そのあんばいとか、今回は違和感のない漫才になっていたらいいな。

相方伊藤との絶妙な掛け合いが笑いを誘う。

畠中 僕がネタのテーマを考えて、最初こういうボケで入るから、それに対してどうツッコもうか、というのを2人で考える。最初は、2人で考えて良かった方を使おうという感じだったんですけど、テーマを考えるのは僕の方が好きだし得意なので、途中から固定になった。僕はあまり積極性がなく、ただ好きなことをやっているだけ。いろんな人とコミュニケーションを取るのがうまい伊藤が間口を広げてくれた。ライブって、吉本のライブは活躍すれば出られるんですけど、他のライブは自分らから「出たいです」と言うか、主催している人と仲良くならないと出られないんです。舞台によってうけるネタも全然違うしM-1でやるネタもまた全然違う。ちょうどいいところを突かないと賞レースではうまいこといかないのかなと。そういう経験を積む機会を広げてくれたのが、伊藤だった。

タイトルを取っての凱旋(がいせん)を見据える。

畠中 去年、番組企画で7年ぶりに函館の実家に帰ったけど1日だけ。その時間しか家族といられなかった。北海道は本当に好きで、あったかい場所。僕ら人気はあまりないですけど、地元函館でライブとかやってみたい。札幌はあるが、函館ではやったことがない。人が集まるかどうか分からないですが、タイトルを取って1回地元で、というのは思い描いてます。

北海道から芸人を目指す若者にエールを送る。

畠中 偉そうなことは言えないですが、僕は18才で就職したけど、人生棒に振っていいやというような気持ちで東京に出た。でも、本当に好きでやっていたから、うまくいってなくても辞めたいとは思わなかった。時間はかかるけど、飯が食えるようになった。好きなことを続けていれば、いずれ何かしらの結果は出るんじゃないのかな。

デビュー7年。大輪の花を咲かせ、北海道の若者に勇気を送る。

◆オズワルド 14年11月結成。吉本興業所属。ボケの畠中は1987(昭62)12月7日生まれ、函館市出身。ツッコミの伊藤俊介は1989年(平元)8月8日生まれ、千葉市出身。M-1グランプリは15年に初出場し3回戦進出。16年1回戦敗退、17、18年3回戦進出。19年に初めて決勝に進出し7位、昨年は5位。20年ABCお笑いグランプリ準優勝、21年優勝。

◆M-1グランプリ 01年に始まった漫才師の日本一決定戦。現在の出場資格はプロ・アマ問わず、結成15年以内(06年1月1日以降)。審査基準は「とにかくおもしろい漫才」。休止をはさみ17回目の今年は史上最多6017組がエントリー。優勝賞金は1000万円。決勝は、視聴者投票による敗者復活枠を含む10組が1回戦でネタを披露。上位3組が優勝決定戦を争う。道内出身者では04年にタカアンドトシが出場資格最終年で初出場し4位。昨年、長谷川雅紀の錦鯉が4位、2年連続で決勝進出した畠中のオズワルドは5位だった。