歌手氷川きよし(44)が21日、所属事務所の公式サイトなどで、年内いっぱいでの活動休止を発表した。期間は定めていない。

00年2月のデビュー以来、スター歌手として多忙を極め、所属事務所の屋台骨を支えてきた。これまで、まとまった休みもなかったことで、昨年末から長期休養について話し合ってきたという。来月には新曲も発売され、6月には劇場公演もあることから、ファンに向けて自ら説明をするとみられる。

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氷川の休養は21日夜、公式サイトなどで発表された。所属事務所は「12月31日をもちましていったん歌手活動をお休みさせていただくことをご報告申し上げます」と記し、理由については「デビューして以来22年間歌い続け、走り続けて参りました。ここでいったんお休みをいただき、自分を見つめなおし、リフレッシュする時間をつくりたいという本人の意向を尊重しこの様な決断に至りました」と説明した。

活動休止期間は決まっていないが、関係者によると氷川本人が決めるとみられ、具体的なメドは今のところなく、事務所側はその連絡を待つ立場だという。

氷川はシングル「箱根八里の半次郎」で演歌歌手としてデビューした。国内のCD売り上げが落ち、中でも演歌歌謡曲のセールスが厳しい中、先頭に立ち業界を引っ張ってきた。NHK紅白歌合戦には00年から22年連続出場。ここ2年ほどはコロナ禍で活動が制限されたものの年に2枚は新曲を出し、アルバムも制作。劇場公演もこなしてきた。日本武道館も常に観客が埋まる演歌歌謡曲の歌手として、1人、気をはいてきた。所属事務所の屋台骨を背負う責任感による疲労の蓄積もあったとみられる。

「演歌歌手」というくくられ方にもストレスがあったようだ。ポップスやロック志向もあったが、所属事務所は「演歌の貴公子」として売り出し、スターダムに乗った。ただ近年は「限界突破」とイメージチェンジを宣言。紅白では19年、20年と激しいサウンドの「限界突破×サバイバー」を熱唱した。着物からロック調衣装に早着替えしたり、ホットパンツ姿をみせるなどして「イメージをぶち壊したい。これから時代も変わって、自分らしく、ありのままの姿で音楽を表現したい」と吐露。自身を「kiiちゃん」と称し「Kiiちゃんらしく。きよし君はさよならして、私らしく」などとも表現していた。

関係者によると、氷川は歌手としての今後について、じっくりと考える時間が欲しかったという。昨年12月のイベント登壇時には、2021年を「今までの芸能生活で一番充実していました。若い時は、どうしてもカテゴライズの中だけでしか、自分を表現しちゃいけないって思っていた。やっぱ、叫ばなきゃって思いました。どう生きていけば自分は自分らしく生きていけるのかってすごく考えられたので、自分的には今年が一番いい年でした」と回想。迎える22年について、感情を込め「22歳の時から走ってきて、自分の人間としての人生を考える時期でもあるのかな。何が自分にとって幸せなのか。自分も年ですし、親も年ですから」などと節目を示唆していた。