河瀬直美監督(52)が24日、都内で会見を開き、21年の東京オリンピック(五輪)公式記録映画の製作報告会見を開いた。

その席上で、舞台に立つアスリートを中心とした五輪関係者たちを描いた「東京2020 SIDE:A」と、大会関係者、一般市民、ボランティア、医療従事者などの非アスリートたちを描いた「-SIDE:B」と、異なる視点からの2作品で製作し6月3、24日に連続公開すると発表した。

1964年(昭39)以来の東京での開催となった東京五輪は当初、2020年(平32)の開催を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で1年延期された。そのため、撮影期間は750日、総記録時間は5000時間に及んだ。

河瀬監督は「異例ずくめのオリンピック…市川監督の美しい映画の後を継ぎ、2本、出させていただきました。編集が終わりません…5000時間、750日を1つの作品にするのに、時間がかかっています」と語った。その上で「コロナで1年、延期になった。撮影も始めていたので、そこから何を模索するのか…そこを描かないと。今回の事態というものを記録し、未来に伝えていくアーカイブ…2本作れたら良いなと考えていました。歴史上、残しておかなければいけない。平和の祭典の中で何がこなわれたか、という時に、コロナによる分断があった。アスリートを中心としたA、支えた人、反対する人、競技が行われている以外の所で起きたことのB」と説明した。

河瀬監督は東京五輪開幕直前の21年7月、日刊スポーツの単独取材に応じた中で、その時点で収録時間が400時間を超えていたことを踏まえ、「開幕後の大会を含めた2部制にしたい」と構想を口にしていた。その上で「20年、バッハ会長にも『パンデミックを含まないと記録映画にはならないと思っている』と直接話し、会長も『もちろん、そう。ナオミだから撮ることが出来ると思っている』と託されました」とバッハ会長にも2本立て構想を語っていたと説明していた。