4月8日に放送を終え”ロス”の声も聞かれる中、22日にBS4Kで5月1日午後1時半から、総合では同4日午後2時から総集編の放送が決定したと発表されたNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。その舞台として1月31日から放送された第14週から登場した、京都の「条映太秦映画村」の“モデル”であり撮影も行われたのが、京都市右京区の東映京都撮影所と東映太秦映画村だ。

放送中の3月12日から東映太秦映画村でスタートした「『カムカムエヴリバディ』の舞台 映画村めぐり」も7月10日まで開催と”カムカム熱”は、まだまだ続いている。そんな東映太秦映画村の関係者に、ドラマとの関わりや劇中で描かれたエピソードが実際にはどうなのか…その舞台裏を聞いた。第1回は東映京都スタジオ企画制作部シニアプロデューサーの阪岡裕貴さんが、文書での質問に答えた。【村上幸将】

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「カムカムエヴリバディ」公式ツイッターは2月2日、

「条映太秦映画村、オープンしました! ひなたちゃんのパラダイスや~」

とツイートした。同日、放送された第65回は、るい(深津絵里)の娘で時代劇が大好きな、ひなた(新津ちせ)が家の近くの京都・太秦に出来たテーマパーク「条映太秦映画村」のオープン初日に父錠一郎(オダギリジョー)とともに出掛けていくストーリーだった。

-「カムカムエヴリバディ」スタッフはドラマの制作にあたり、どの程度、取材したのでしょうか? 

阪岡さん 実際にドラマを制作する前に、NHKの方からひなたと同じ1983年(昭58)入社の女性2名と、80年入社の女性1名、現企画制作部の女性3名がヒアリングを受けました。取材は雑談形式で、入社理由・入社当時の仕事内容やイベント内容などを聞かれたとのことです。また社史、友の会の会報「ミス映画村コンテスト」のパンフレットなどの資料と、当時の制服やファッションの写真を貸し出したそうです。

「カムカムエヴリバディ」の劇中で、川栄李奈演じる、ひなたが挑んだ「ミス条映コンテスト」のモデルとなった「ミス映画村」は1983年(昭58)に第1回が行われ、女優の斉藤絵里(58)がミス、準ミスには元女優の加納みゆきさん(60)が選ばれた。87年の第3回は現在、吉本新喜劇に所属する高橋靖子(54)が、89年の第4回は、00年に女優からから着物研究家に転じて活動の幅を広げる、柾木良子さんがミスに輝いた。ひなたは「ミス条映コンテスト」に落選後、条映映画村でアルバイトを始め、その後、職員となるが、関係者によると、ミス映画村から東映太秦映画村の職員になった人はいないという。

-ドラマの中では、さまざまなアイデアで時代劇を盛り上げようと奮闘する、ひなたらの姿と、その先に映画村の動員が落ちてきたところまで描かれます。実際の東映京都撮影所及び太秦映画村の実情、歴史は、どの程度、落とし込まれていると感じましたか?

阪岡さん ドラマに描かれていた時代劇の衰退や映画村の動員の減少については取材を受けたり、そのような話はしてないようです。ただ、別の古い社員いわく(動員が厳しくなった時に行った)撮影所が演出したり、俳優がお化けを演じる「お化け屋敷」、海外からの旅行の視察団などの受け入れ(ドラマではハリウッド映画制作陣をひなたが英語で案内したシーン)、その際に殺陣パフォーマンスや居合斬りしたところは全く同様のシチュエーションがありましたとのことでした。ですので、いくつかのエピソードは忠実に落とし込まれているようです。

-「カムカムエヴリバディ」放送後、東映映画太秦映画村の来場者が増えたり問い合わせが相次いだりなど反響はいかがですか?

阪岡さん おかげさまで「カムカムエヴリバディ」を、ご覧になられた多くの方々に連日ご来場いただいております。映画村では実際にドラマの撮影が行われましたので「『カムカムエヴリバディの舞台』映画村めぐり」というイベントを開催しており、ロケ地マップをご用意しております。それでロケ地マップを手にし、オープンセットを巡りながら写真を撮られているお客様をよくお見かけします。またドラマの和菓子を監修した方から直接あんこを仕入れて、ドラマと同じ味の回転焼きの販売も行っておりますが、大人気で連日、完売するような状態です。北海道産の大納言小豆を使用した手作りのあんこですので、大量生産が出来ず数に限りがございますが、遠方から回転焼きを食べに来られる方もいて大好評です。

-「カムカムエヴリバディ」はNHKのドラマであり、東映のコンテンツではありませんが、京都撮影所と太秦映画村がベースになっているというのは事実です。放送は終わりましたが今後、さらなるコラボレーションの企画、プラン、希望などはありますか?

阪岡さん NHKは公共放送ですので、放送内で企業名や商品名を出すことは出来ず、民間企業とのコラボレーションも出来ないそうです。ただ、映画村で撮影が行われたということは事実で、その事実については隠さなくても良いとのお話をいただいております。ですので、引き続き「『カムカムエヴリバディの舞台』映画村めぐり」を継続し、ファンの方にはロケ地巡り(聖地巡礼)をしていただきながら、「カムカムエヴリバディ」の余韻に浸っていただきたいと考えております。映画村の広報担当としては、今後もお客様のニーズに応え、より楽しんでいただけるテーマパークを目指していきます。

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第2回は東映京都撮影所の妹尾啓太所長が、文書での質問の中から、ドラマへの関わり方を中心に語る。