シンガー・ソングライター町あかり(30)が「いかレスラー」「ヅラ刑事」などのユニークな作風で知られる河崎実監督(63)の「タヌキ社長」(20日公開)で映画初主演している。股間丸出しの“タヌキの着ぐるみの上司”タヌキ社長に憧れる微妙な役どころを演じている。「タ○キン」というせりふも臆することなく口にした町は「最初はラブコメみたいな感じだと思っていました。そうしたらタヌキの着ぐるみが相手として出てきて恋しちゃう話だったので、どうなるんだと思いました」と笑った。

映画出演は2本目。18年の河崎監督「シャノワールの復讐」では自身の役で出番も少なかったが、今度はいきなりの主演。「ほとんど演技経験がないままで、せりふがたくさん。不安だったんですけど、河崎監督が『大丈夫、大丈夫、歌を歌ってる人はできるから大丈夫だよ』って(笑い)。すごい貴重な経験をさせてもらいました。次は悪役とかにも挑戦したいですね」と話している。

同僚役にYouTubeで大人気のお笑いコンビ、レインボー。女性社員役の池田直人(28)は、コントでおなじみの女装姿で演じきっている。「素晴らしいです。河崎監督も、映画でレインボーの映像記録を残すんだという気持ちでやられたみたい。池ちゃんは、本当にすごい。実際に、いそうだなっていう女の子を演じている」と振り返った。

渥美清さん主演の映画「男はつらいよ」シリーズの大ファンで、全50作をコンプリート。今年3月に「町あかりの『男はつらいよ』全作品ガイド」(青土社)を出版した。「沢田研二さんとかキャンディーズ、岩崎宏美さんとか70年代後半の歌謡曲が大好きなんです。歌をやっているうちにキャンディーズの伊藤蘭さんがヒロインの『男は-』を見て、寅さんにハマってしまいました」。

「男はつらいよ-」の魅力を「昭和の文化が、すごい新鮮。マドンナを、寅さんをはじめとする周りの人が支えて、幸せになっていくのがすごく共感できて、魅力的ですね。寅さんが振られちゃうのはかまわないんです」と言う。

女優、ライターとしても活躍するが、本業はシンガー・ソングライター。「音楽が大好きで、高校の頃から自分で曲を作って、デモテープをいろいろなところに送って、ライブハウスで歌うようになりました。テレビ朝日の『musicる TV』のコーナーで、ヒャダインさんと綾小路翔さんに取り上げていただいたのがきっかけで、電気グルーヴの石野卓球さんのイベントに出させていただいたり。そういった出会いのおかげで、活動が広がってきました」。

曲作りは「鼻歌で作って、それにコードを付けて、キーボードで音を取るのが基本。ギターで作るときもあります」。

現在、オリジナルアルバムを制作中。「曲を作れば作るほど、また新たに作りたいテーマみたいのも出てくる。昭和の時代にヒットした曲って、大人の内容の歌ってあっても大人から子供まで全ての人が知っているじゃないですか。そういった歌謡曲、現象に憧れているんです。大衆音楽的な、自分の作ってる作品も、そういう作品にしたいなっていうのが夢です。日本国内もですけど、英語で歌詞を書いたりとかもやってみているので、世界にも向けて歌っていきたいですね」

休みの日は飼っている文鳥と遊び、イラストを書いている。「手乗り文鳥なんですけど、籠から出して手に乗せて遊んで、テレビ見ています(笑い)。絵を描くのも好きで『町あかりの-』の表紙のイラストも、頑張って描きました。あとは寅さん映画を見るのが一番の息抜きですね」と話している。

◆町(まち)あかり 1991年(平3)5月28日、東京都生まれ。10年からライブ活動を始める。13年テレビ朝日「musicる TV」の「もしかしたら売れるかもしれないメジャーデビューしてないアーティストが見れる店」のコーナーに登場。15年アルバム「ア、町あかり」でメジャーデビュー。18年12月からフジテレビの教育番組「じゃじゃじゃじゃ~ン!」に歌のおねえさんとして出演。19年童謡アルバムCD「あかりおねえさんのニコニコハートへんなうた」を発表。今年3月「町あかりの『男はつらいよ』全作品ガイド」(青土社)出版。血液型A。