お笑いトリオ、ダチョウ倶楽部の上島竜兵(うえしま・りゅうへい)さん(本名龍平=りゅうへい)さんが死去したことが11日、分かった。61歳。

所属事務所によると、11日未明に都内の自宅で倒れているところを家族が発見。病院へ搬送されたが死亡が確認された。警視庁捜査関係者によると、自殺を図ったとみられる。葬儀はコロナ禍の状況を鑑み、密葬で執り行う。

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「どうぞ、どうぞ」「くるりんぱ」など、アットホームな笑いでお茶の間の人気を集めた上島さんが、突然、この世を去った。所属事務所「太田プロダクション」は11日、公式サイトで「弊社所属のダチョウ倶楽部・上島竜兵が本日未明自宅で倒れているところを家族に発見され、病院へ搬送されましたがその後死亡が確認されました」と公表。

上島さんは、1980年に肥後克広(59)寺門ジモン(59)南部寅太(電撃ネットワーク南部虎弾=70)と4人で「ダチョウ倶楽部」を結成。85年に「太田プロ」に所属した。87年にリーダーだった南部が脱退し、3人で活動してきた。同事務所は「あまりにも突然のことで驚きに堪えません。今まで上島竜兵を応援してくださった皆様には心から感謝いたします」とした。

93年には「聞いてないよォ」で、流行語大賞を獲得。以降「押すな! 絶対に押すなよ!!」「訴えてやる!」など、誰もが知るギャグを多く誕生させてきた。体も張った。キス芸、熱湯風呂、熱々おでん芸など、リアクション芸人の地位も築いてきた。

最近まで、元気な姿も見せていた。先月25日、都内で行われた記者発表会にダチョウ倶楽部で登壇。肥後が「やっぱり触れ合っていかないといけない芸ですからね。(コロナ禍で)なかなか触れ合えなくて」と切り出すと、上島さんは「やってることが熱々おでんとか、熱湯風呂とかですから。けんかしてチュー、ができないからね。俺としては商売あがったりですよね」。続いて寺門が「竜ちゃんが『押すなよ、押すなよ』って言っても、本当に押せないんですよ!」と、さすがのトークで笑いを誘っていた。

上島さんは、2020年3月に新型コロナウイルス感染による肺炎で亡くなった、志村けんさんを“師匠”と慕っていた。だからこそ、自身も大きな愛を持って後輩に接した。しかし、コロナ禍で有吉弘行(47)土田晃之(49)らが中心となり、上島さんが率いる「竜兵会」などの飲み会も激減した。イベントでは「初めて結婚してよかったな、嫁がいてよかったな、って思いましたよ。俺の文句を聞いてくれるからね」と、冗談交じりに94年に結婚した妻に感謝する一幕もあった。

葬儀に関して、所属事務所は「コロナ禍の世情に鑑み密葬とさせていただく予定でおります。またご家族のご意向により、ご香典、ご供花、お供え物の儀は固くご辞退申し上げます」とした。

“伝統芸能”を築き、愛された人間が、この世を去った。

◆上島竜兵(うえしま・りゅうへい)本名上島龍平。1961年(昭36)1月20日、兵庫県生まれ。劇団青年座研究所、テアトル・エコー付属養成所で演技を学ぶ。テアトルの同期、寺門ジモンに誘われお笑いの世界へ。南部虎弾、肥後克広とダチョウ倶楽部を結成。80年代後半、ダウンタウン、ウッチャンナンチャンらとともに、お笑い第3世代で注目される。日本テレビ系「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」のマイク争奪カラオケで全裸になりたけしに認められ、同局系「スーパーJOCKEY」の熱湯風呂コーナーで「絶対に押すなよ!」と念を押しながら後ろから突き落とされる、お約束の芸が確立された。リアクション芸、帽子芸、ジャンプ芸など、数多くの持ち芸、ギャグで知られる。志村けんさんとのコント番組でも人気に。映画やドラマの出演も多く、映画は「上島ジェーン」シリーズ主演、ドラマは日本テレビ系「真犯人フラグ」、フジテレビ系「やんごとなき一族」など。妻はタレント広川ひかる。