大きな1歩を踏み出した。9人組ガールズグループNiziUが8日、韓国で、同国初パフォーマンスとなる「KCON 2022 Premiere」に出演した。同グループが、海外のライブに出演するのは初めてだった。

2020年12月2日に「Step and a step」で日本デビュー。その後「NHK紅白歌合戦」に2年連続で出場するなど、日本では大活躍だ。しかし、韓国での活動はこれまでなく、今回が“初お披露目”だった。昨年のインタビューで、来年やりたいことについて「韓国のファンの方にも会えたらいいなと思っています」と答えていたNINA(17)をはじめ、9人にとって待望のステージだったに違いない。

そして、そのNINAが非常に良い。筆者の個人的な印象だが、最近、NINAが“覚醒”している。

ライブでは、先月にリリースしたデジタルシングル「ASOBO」の英語バージョン、そして、プレデビュー曲「Make you happy」の韓国語バージョン、昨年の紅白歌合戦でも歌唱した「Take a picture」の英語バージョンを披露した。その後、ライブの後半に再登場。事務所の“先輩”である、TWICEの「Dance The Night Away」をカバーする、スペシャルステージを届けた。

「ASOBO」は、NINAが完全に自分のものにしている。オーディション時に時折見えた不安な表情はもう、一切無い。高音パートを担当することが多いが、MIIHI(17)とNINAの高音は非常に心地よく聞こえる。同曲ではNINAがセンターに立つ場面が多々ある。堂々と自信に満ちあふれた表情で、楽しんでいるようにパフォーマンスしている。

最年少ということもあり、インタビュー中には周りのメンバーに甘える事も多い。話すときも、恥ずかしがりながら答える事がある。ただ、パフォーマンスになると別人のようだ。これまでもその印象はあったが、「ASOBO」でさらに魅力が爆発したように感じる。

今回のお披露目によって、NiziUが韓国デビューというわけではない。NiziUが誕生した「Nizi Project」の総合プロデューサーJ.Y.Park(50)は、3月のインタビューで「本格的に進出する前に、市場の状況を見極めるために、お披露目するという感じです」と話していた。

韓国で初パフォーマンスをしたからといって、急に人気が急上昇しているわけではない。Parkは「一発屋になるのではなくて、長い期間、尊敬されるアーティストになって欲しい」。徐々に人気に火が付いていき、巨大な火が長く付く方が良いと考えている。

ライブは有観客で行われた。もちろん自分たちのファン(WithU)で埋め尽くされるワンマンとは違う“アウェー”とも思える一面もある。しかし、終演後、リーダーのMAKO(21)をはじめ、メンバーは他のグループのファンがいるところにも足を運び、あいさつをしていた。

スタッフや、誰かに言われたからではないだろう。普段から当たり前のようにそうしているからだ。テクニックは鍛錬すれば伸びる。だが、人間性はなかなか変えることができない。自分自身を自然に表現する。そのスター性が、9人には備わっている。今後、日本でじっくり地盤を固め、時期が来たらグローバル進出する見込みだ。その数年後が、より楽しみになった。【佐藤勝亮】