NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8時)の脚本を手がける三谷幸喜氏(60)が、このほどオンラインで取材会を行った。26日放送の第25回「天が望んだ男」に込めた思い、源頼朝を演じる大泉洋(49)への信頼感をユーモアたっぷりに語った。

第25回は、側近の安達盛長(野添義弘)に馬を引かれた頼朝が、意識を失い落馬するシーンで幕を閉じた。三谷氏は脚本家として「彼なりのつらさや孤独を十分感じてここまで来ている」と話し、頼朝に迫る最期について「突然のアクシデントで急に死んでしまうのでもないし、誰かに殺されるとなると、それは殺す側のドラマになってしまう。頼朝側のドラマとして完結させてあげたい思いがあった」と語る。頼朝に起きた異変を知らせるように、各登場人物のソロカットとともに鈴の音が鳴る印象的な演出となった。「この回は静かなイメージ。これまで積み重ねた24回に比べると、とても厳かな1日で、それを演出の吉田照幸さんもくみ取ってくださった。大泉洋も一生懸命やってくれた」と感謝した。

頼朝は女性好きで人間味あふれるキャラクターの一方、疑心が拭えず身内ですら容赦しない非情な面も描かれた。劇中で不幸が起こるたび「全部大泉のせい」というワードがネット上で盛り上がる“愛すべき嫌われキャラ”となったが、「大泉洋という俳優の魅力や力量を僕は分かっているけれど、もしかしたら世間は分かっていないのではと思う部分含め、僕が望んでいる頼朝像をきちんと、それ以上に演じてくれるだろう信頼があった」。大泉が司会、三谷氏が審査員を務めた昨年大みそかの「紅白歌合戦」以来会ってはいないが、「分かってくれているなと、出来た作品を見ながら感じている。彼以上にこの役を演じきれる人はいなかったと思うし、孤独な部分を含め、こんなに人間味のある、リアルな頼朝を演じられる俳優さんはいるだろうかと思っている」と語った。

一方で、市川猿之助(46)演じる文覚の初登場シーンに感激したことを大泉にメールで伝えると「『俺に言うな』と腹を立てたような返事がありました。マジで怒ってるなと思ったので、そのままにしてあります」。また「彼が日本中に嫌われていると思っているという話を周りから聞いた。『日本中に嫌われても、僕は君のことが好きだよ』とメールしたら、『お前のせいだ』って返事がありました」と三谷氏流に笑わせた。