“リアル峰不二子”の異名を持つグラビアタレント染谷有香(30)が、27日のヘアヌード写真集第2弾「Dyed in a dream」(光文社)出版を前に、日刊スポーツの取材に応じた。21年9月に出版した第1弾「This is the beginning」(同)から一転、今回はファッション誌のスタッフと初めてタッグを組んだ。「ファッション、美容の世界で、一線で活躍する方と組み、グラビアでは経験したことのない色味を含めた繊細さを感じ、自分のポテンシャルを感じた部分がある」と手応えを口にした。

撮影は、沖縄の海や廃虚などで行った。180ページのうち、8割近くがヘアを中心としたヌードだが、胸から下を透明のラップで巻いたり、網タイツを着たり、体を延長コードで縛るなど、さまざまな表現に挑んだ。それが出来たのも「初ヘアヌード写真集をきっかけに、学びが多かった1年。その中、強いライバルが多い芸能界を生きていく中で弱みだと思っていた“受け入れる”ことで、表現の幅を広げることが出来た」からだった。ほぼ、すっぴんで挑んだショットも「強いメークをしていたので、ヘアを出すのと同じくらい勇気が必要だったけれど、受け入れたら、いい1枚になった」と、新たな境地を開いた手応えがあった。

“オシャレでエッチな”というサブタイトルがついているが“エッチ”な表現を目指す撮影も、グラビアとファッション誌のスタッフではスタンスに違いがあったという。「グラビアは、時にカメラマンの方との“タイマン”もあるわけです。一方、ファッション誌の皆さんは、チームで表現を作っていく中で、良い意味でラフなテンションもあり、そこが楽しかった」。

エレガントさが、におい立つような写真の数々の中には、大型バイクにまたがったり、黒革ビキニとマスクのように大きい黒サングラスを着けた、本家をほうふつとさせるスパイのようなカットもある。染谷は「峰不二子さんは、日本を代表するセクシーシンボルだと思っているので、そう言っていただけるのは、うれしい」と“リアル峰不二子”という異名への思いを語った。

その上で「峰不二子さんは破天荒で、欲しいものは何が何でも手に入れる。女性から見た時、ある種、敵なのかな? と思える一面もあったと思う。でも、女性がなりたいと思う強さ、色気を感じるキャラクターに昇華されている」と本家を評した。そして「私も、それくらい強さ、エレガントさは磨いていきたい。磨いた先の姿が、この写真集で垣間見えた思いがある」と、かみしめるように語った。

「This is the beginning」では、写真ごとに設定を考えて演じるように撮った。その裏には、女優業への本格挑戦という狙い、思いがあった。それから1年…演じる以上に、写真1枚にこだわることへと、考えがシフトした。同作が話題を呼び、3刷と大ヒットしたことで「写真1枚の力で、人生を突き動かされた。特別で大切にしたいのが、写真集の撮影」と感じることが出来たからだ。

その思いから、この1年、さまざまな写真、写真集に意識的に触れるようになった。その中で「演じている写真も、すてきだし、魅力的だけれど、生きざまを写している写真に魅力を感じてしまった」という。「生きて、写るしかない。それが伝わったら、最高のエネルギーになる。色気も、自分から生み出さないと写らないと思っていた時期があったけれど、魅力的に生きていれば自然に出るものだと、やっと気付くことが出来た」という。

その中で、忘れられなかった写真集が、写真家の笠井爾示氏が母久子さんのヌードをも収めた写真集「Stuttgart」だった。昨冬、目を通し「自分のお母さんの、ヘアヌードを撮った写真があって。それを見た時、涙が止まらなくなった」と胸を打たれた。「本当に素晴らしく、思い出してもグッとくるものがある。(被写体が)お母さまという関係性があるにしても…ごまかしが利かない。読んで、意識、写真、写真集というものへの、考え方が変わりました」と触発された。

2冊目のヘアヌード写真集を出した今年は、30歳を迎えた節目の年だ。「消費されてしまうような写真にしたくない」という思いは変わらないが、笠井氏の写真集に触れたこともあり、さらに思いが加わった。

「写真は、自分の人生の中で大切な存在になった。何のためにやるのか、何のために出すのか…。表現することは、生きること。年齢も気にせずに、撮りたくなるような魅力を、死ぬまで持ち続ける努力はしていきたい」

だからこそ、女性に見て欲しい。「その人の一生のどこかで、今回の写真集を1度は見て欲しいです」と胸を張って言った。【村上幸将】