TBS金平茂紀キャスター(68)が24日、同局系「報道特集」(土曜午後5時30分)に、レギュラーMCとして最後の出演を果たした。金平氏は、10月から特任キャスターとして番組に携わり、レギュラー出演しない。今後は、調査報道ユニットのキャップ、村瀬健介氏がMCに就任する。

番組後半、金平氏は「今回、僕は『報道特集』のキャスターから離れます。レギュラーから離れます。12年間にわたって、週に一度皆さんとお目にかかってきました。この間皆さんから厳しいお叱りの言葉も含めて、さまざまな叱咤(しった)激励をいただき誠にありがとうございました。何度か折れそうになったとき、みなさんからの言葉は本当に支えになりました」と視聴者に感謝した。

続けて、自身もかかわった同局系報道番組「NEWS23」で長く看板キャスターだった恩師のジャーナリスト筑紫哲也氏(08年死去)への思いも込めた。「僕は12年間使っていた、この原稿を止めるクリップボードですけど、実は僕の恩師の筑紫哲也さんが、最後のオンエアの日まで使っていたものです。当時危うく捨てられそうになっていたものをスタッフのADさんの1人が拾い上げて保管して、僕に託してくれました。時代遅れのようなこの木製のボードですけど、東日本大震災の被災地ですとか、福島第一原発の構内、アフガニスタン、リビア、イラク、ウクライナ、ベラルーシ、ロシア、アメリカなどの取材現場に持って行きました。何のために自分は報道という仕事を続けているのかを考えるとき、僕はこのボロボロになったボードを眺めていました」。

さらに「番組はさらに続きます。僕は特任キャスターという役割で、より深く、より広く、より長く取材をして、皆さんと随時お目にかかりたいと思っております。本当にありがとうございました」と呼びかけた。

特任キャスターとなる金平氏は、さまざまなテーマに沿った取材に軸足を移し、これまで以上に長い時間をかけて調査報道を行いながら、随時出演することになる。

金平氏は同局報道局で、モスクワ支局長、ワシントン支局長、報道局長などを歴任。10年から同番組でMCを務めた。04年には「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞している。